海外で学ぶ – 日本人の留学事情

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海外で学ぶ日本人留学生は年間8万人以上(2005年)。その多くがアメリカなど英語圏の国々に留学しています。日本学生支援機構(JASSO)が実施した留学に関する調査によると、留学に対する満足度は高いものの、日本への再適応や就職に苦労する人も少なくないようです。今回は、日本人の留学事情と留学生活について紹介します。

★英語圏が人気、留学生数は減少
文部科学省の平成20年度版「我が国の留学制度の概要受入れおよび派遣」によると、2005年の日本人留学生数は80,023人。その半数近くの38,712人がアメリカに留学しており、次いで中国、イギリス、オーストラリア、ドイツという順でした。

日本人の主な留学先・留学生数(2005年)

国・地域名

留学生数(人)

   

アメリカ合衆国

38,712  

 

*文部科学省高等教育局学生支援課「我が国の留学制度の概要 受入れ及び派遣」(平成20年度版)より抜粋。各国統計や経済協力開発機構(OECD)のデータによるの。OECDの統計は高等教育(大学等)への留学生数をカウントしている。

中国

18,874  

 

イギリス

6,179  

 

オーストラリア

3,380  

 

ドイツ

2,470  

 

フランス

2,152  

 

台湾

2,126  

 

カナダ

1,750  

 

韓国

1,106  

 

ニュージーランド

916  

   

 

近年、アメリカやオーストラリアに留学する日本人の数が減少しています。アメリカの国際教育協会(IIE)によると、日本人留学生数は2002年の45,960人から、2007年には33,974人にまで減少しました。また、オーストラリア政府国際教育機構(AEI)のデータによると、2009年5月時点で、同国国内の大学や語学学校などで留学を始めた日本人留学生の数は前年同期比10.8%減の9,051人となりました(*職業教育訓練(VET)や語学学校などへの留学も含む)。AEIの報告(2009年7月)によると、日本では少子化に伴い大学に入りやすくなったこと、日本人学生の保守的傾向などが減少の理由ではないかと分析しています。
一方、中国をはじめとするアジアへの留学は増加傾向にあります。アジア諸国に留学する日本人留学生の数は、2000年の14,711人から2005年には22,569人にまで増加しました。(「我が国の留学制度の概要 受入れおよび派遣」参照)

2008年7月に動き出した「留学生30万人計画」(詳細は9月号)は、日本の大学等に留学する外国人留学生の増加を目指すものですが、その計画実現のための具体的方策の検討において文部科学省中央教育審議会大学分科会留学生特別委員会は、海外から優秀な人材を受け入れるばかりでなく、世界で活躍できる優秀な日本人の育成の観点などから相互交流も重視すべきであり、日本人の海外留学の促進も重要である、としています。また、日本人が多く留学している欧米諸国だけでなく、受け入れ留学生の多いアジア諸国への留学についても配慮・誘導が必要だとしています。

★高い満足度も就職には苦労
 日本学生支援機構(JASSO)留学情報センターは、2005年、海外留学経験者に対し、留学の動機やその達成感、留学後の進路などについての調査を行いました。
 留学の動機としては、「語学を本場で学びたかった」、「外国生活により視野を広げたかった」との回答が多くありました。留学に対する総合的な満足度を尋ねる質問では約半数の人が「非常に満足」と回答。「やや満足」と回答した人まで含めると約9割の人が「満足」と回答しました。「今後留学経験は役立つか」という質問に対しては、「役立つと思う」という回答が95%を占めました。留学後の進路は「帰国して就職」「帰国して復学」がそれぞれ約4割。「現地で就職」は3%弱でした。帰国後に困ったこととしては、「日本への再適応」「就職」と答えた人が多く、留学後にほしいサービスとして、約4割の人が「就職斡旋」と回答しました。


実際に海外留学した人は、どのような目的でどこに留学し、どのような留学生活を送ったのでしょうか。留学経験のある2人の方にインタビューしました。

中国に留学して
 愛知大学現代中国学部3年生。2009年2月から約1年間の予定で、上海にある上海外国語大学に留学中。

Q なぜ中国に留学しようと思ったのですか?
 大学1年生の時に、大学のプログラムの一環で中国・天津に短期留学しました。中国での生活を経験し、もっと中国のことを知りたい、中国語を話したいと思い留学を決意しました。また、今までと異なる環境で自分を見つめなおし、成長したいと思ったのも理由のひとつです。留学先は愛知大学の交換留学制度を利用して、提携校である上海外国語大学に決めました。

Q 大学での授業は?
 月曜から金曜まで毎日午前中に2コマずつ中国語を学ぶ授業があります。また、午後は週1回から3回ほど選択授業があり、興味のある内容があれば自由に参加することができます。

Q 中国での留学生活はどうですか?
 留学当初は、中国語のレベルが低く、自分の気持ちを相手に伝えるだけでも苦労しました。留学してみて感じるのは、実際に来てみないとわからないことが多くあるということです。教科書や写真だけではわからないその国の魅力や問題点を自分の目で見て知ることができると思います。また、様々な国の人と共通の言語を通して会話できることが、本当に素敵なことだと実感しています。

 上海留学中の畔柳さん 

Q 授業以外でしていることは?
 中国各地を旅行しています。また、夏休みには中国人の友人の自宅で約1か月間ホームステイをさせてもらい、中国の一般家庭の生活を見る機会を得ることができました。秋学期からは中国人の方に日本語を教えるボランティア活動に参加しようと思っています。

Q 留学後の進路は?
 中学生の頃から興味のある国際協力に携わる仕事ができればと考えています。そのためにも中国社会の抱える問題について学びたいと思っています。将来的には中国で働くことも考えています。
ニュージランド・オーストラリアに留学して
 2001年から2004年まで約4年間、ニュージーランドの語学学校とオーストラリアの大学に留学。留学後、日本に帰国し就職。

Q なぜ留学しようと思ったのですか?
高校の時から英語が好きで、英語力を伸ばしたいと思い、日本の大学で英語を専攻しました。しかし、思うように伸びなかったため、現地に行って学ぶことにしました。留学先は日本の大学在学中に語学研修で訪れたことのあるニュージーランド。留学の手続きは、業者を通すことなくすべて自分で行いました。研修中にお世話になった家にホームステイし、国立大学付属の語学学校で6か月間、英語を勉強しました。留学しているうちに英語だけでなく、英語を使って専門分野の勉強がしたいと思い始めました。英語の試験IELTS(International English Language Testing System(アイエルツ)) を受けたところスコアがオーストラリアの大学を目指せるくらいあったため、オーストラリアへの大学進学を考えるようになりました。

Q オーストラリアでの大学生活はどうでしたか?
IELTSの結果、ライティングのスコアが足りなかったので、入学前に必要な集中ライティングコースを3か月間受講しました。大学の専攻は国際経営学。在学中に受けたクラスに日本人学生は全くいませんでした。最初は、英語力だけでなく、授業内容や大学のシステムが分からず苦労しました。授業ではグループで行う論文やプレゼンテーションがあり苦労しましたが、今思うと友人もでき、大変良い経験だったと思います。日本の大学で取得した単位の一部が認められ、2年6か月(オーストラリアの大学は3年制)で卒業することができました。

Q 留学の費用は?
 学費、生活費共に両親が負担してくれました。大学生活は思ったよりも大変で、最初はアルバイトをすることができませんでした。慣れてきてからは、免税店でアルバイトをしました。

Q 留学後の進路は?
 ビザの関係により、オーストラリアでの就職は難しいと思ったので、日本に帰って就職活動をしました。英語を生かした仕事を希望したものの、英語を使う仕事は多くなく、入社しても数年は英語を全く使わないという説明をよく受けました。現在の仕事は英語を生かすことができるので、この仕事に就くことができてよかったと思っています。

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海外留学の目的や形態はさまざまですが、語学の上達だけでなく、海外生活を通して、貴重な経験を得ることができるようです。自分に合った海外留学をするためには、事前の情報収集が重要になります。NIC 情報カウンターでは、随時、留学に関する情報提供をしているほか、留学関連の資料・書籍をご覧いただくこともできます。また、各国関係機関と共催で留学相談会も開催しています。海外留学に興味のある方、ぜひNICの情報カウンター、留学相談会をご利用ください。

  NIC開催の留学ガイダンス(2009年下半期)