尾崎あゆ美さん(青年海外協力隊・エルサルバドル・感染症対策)
成人に対しては根本的治療がなく、本格的な治療法研究も進んでいない「顧みられない熱帯病」といわれるシャーガス病。その対策活動を行った隊員にJICA名古屋デスクの国際協力推進員がインタビューをしました。

エルサルバドルってどんな国?
人口:約613万人(2008年、世界銀行)
面積:21,040平方キロメートル(九州の約半分)
主要産業:保税区での衣類等の生産、農業(コーヒー、砂糖)
Q: シャーガス病とはどんな病気ですか?
吸血サシガメを媒介とする感染症で、フンの中の寄生虫が目や口などの粘膜や傷口に入ると感染します。1~2週間の潜伏期間の後、急性期には目が腫れたり、悪寒、頭痛、発熱などの症状が表れ、5~20年後に慢性期になり心筋障害があらわれると死に至ることもあります。感染は血液検査で判ります。急性期の治療薬はありますが、今のところすべての患者に有効な慢性期の治療薬はないと言われています。
Q: 任地はどんなところでしたか。
首都サンサルバドルから西へ100キロのところにあるアウアチャパンの県地方医務局で活動しました。土壁でつくられている家に住んでいる方々も多い地域でした。サシガメは、土壁の割れ目や家畜のいるところを好んで住みつきます。わらぶき屋根や土壁の家で漆喰(しっくい)で壁を塗る余裕がない貧しい人々が多く感染することから「貧困層の病気」とも呼ばれています。
Q: 具体的な活動内容を教えてください。
任地に入った頃は、殺虫剤をまいてサシガメが減少しつつある段階でした。そこで、更に強化するため、ボランティアを募って感染監視クラブを結成し、サシガメの駆除や病気の早期発見と治療のための住民参加型シャーガス病監視体制の構築を目ざしたり、学校でシャーガス病についての授業やテストを行い、撲滅の大切さを訴えたりしました。ある地区では、6か月後にサシガメ生息率を0パーセントに下げることができ、本当にうれしかったです。
Q: 活動で感じたことは何ですか。
サシガメをゴキブリと間違えている住民もいて、最初は戸惑いました。そこで、樹脂標本(写真)を作って持ち歩き説明に使いました。特に字が読めない年配の方は病気に関する知識があまりなかったので、一軒ずつ家庭を訪問して説明しました。授業で習う学生より、むしろ年配の方のほうがサシガメとシャーガス病の関係を知らないと実感し、訪問での地道な活動も大切だと強く感じました。

















