地域の国際化セミナー2010 地域は変わるか~外国人とつくる住民自治~


去る3月13日(日)、名古屋国際センターホールにて、「地域の国際化セミナー2010 地域は変わるか〜外国人とつくる住民自治〜」を開催しました。このセミナーは、地域の国際化に向けての課題や取り組みを考える機会として、2000年以来、毎年実施しているものです。ここ数年は、多文化共生をテーマに、外国人住民の声を発信する場としても位置づけており、今回はより多くの外国籍住民が参加し易いように、初めて、ポルトガル語の同時通訳及び、英語、中国語、他の言語はNICに登録している語学ボランティアが逐次通訳を行いました。


会場の様子

 ここで、5名のパネリストによる地域での取り組み等を紹介します。


小池田 忠氏【名古屋市営森の里荘(緑区)自治会長】 ※コーディネーター

 1252世帯が暮らす団地で自治会役員を務めて25年。自治体と住民自治はどうあるべきかを常に考えてきた。住民自治とは、行政が主導で行うのではなく、住民自らが自分たちの地域を作っていくのだという自覚を持つことだと考える。地域に住む住民の福祉、つまり広い意味での住民の幸せづくりを考えることに、国籍は関係ない。
地域コミュニティーに取り組む者として、多文化共生という言葉には違和感がある。日本人であろうが、外国人であろうが、その地域に暮らす全員でコミュニティーは形成されている。コミュニティーは多様性があるから面白い。住民自治づくりには、「多文化共生より人間共生」が大切ではないか。

ベガム・シャムシャド氏【バングラデシュ出身 元NIC世界語ろマイスター】

 市営住宅で暮らし始めた当初、この団地で唯一のバングラデシュ人だった。当時は日本語を話すことさえ抵抗感があったが、日本で暮らすためには地域に出向くことが大切だと思うようになり、地域のイベントに参加したり、PTA役員を務めたり、母親仲間との交流を深めたりした。息子の小学校の卒業祝いに、近所の人が赤飯を持ってきてくれたことがあり、日本のこのような近所付き合いに感激したのを覚えている。
 現在、私の暮らす周辺には、留学生とその家族をはじめとするバングラデシュ人が増え、コミュニティーが形成されている。携帯電話で母語を話していたり、家ではパソコンで母国のテレビやニュースを見ている人も多い。周りに仲間もいて楽しく暮らしている一方、地域の日本人との交流が少なくなっているような気がする。

村上 アリセ氏【ブラジル出身 東浦町外国人相談員】

 日本での定住を決めた時、日本人とちゃんと向き合って、自分と家族を受け入れてもらえるような環境を作ることが大切だと思ったが、何をしたらいいか分からず、一歩を踏み出す勇気がなかった。長男が通っていた保育園の園長の要望で、母の会の委員を1年間務めたことが、私の地域活動のスタートとなった。PTAや自治体役員等を経験してきたが、振り返ると、周りにはいつも私を頼りにしてくれる外国人や、私を信じて背中を押してくれる日本人がいたから続けられたと思う。
 外国人は情報が不足しているので、地域の人による声かけがとても大切。例えば、「夏休みの宿題は進んでいる?」や「遠足のお弁当は何にする?」と言う会話から、外国人保護者が、夏休みに宿題があること、遠足にお弁当が必要なことを初めて知ることになるかもしれない。大人が自然に助け合う社会ができれば、子どもたちも自信をもって生きる平和な社会になると思う。


東浦町立石浜西小学校の発表

有賀 ヒデオ氏【ブラジル出身 愛知県営小島住宅(西尾市)管理人】

 2002年から、257世帯の団地(うち2割がブラジル人世帯)の管理人を務める。住民間のトラブルを避けようと、日系ブラジル人であることを隠して暮らしていた時期もあった。相談役として外国人の要望を聞いているうちに、団地内で頻発していた違法駐車は、停める場所が少ないことが理由だと分かり、自治会に交渉して200台が停められる駐車スペースを確保した。また、仕事があるため清掃に参加できないという声を聞き、指定日以外に曜日を設定し、自分も参加して清掃を行った。
日本人と外国人の橋渡しをすることは、簡単なことではない。問題を解決するために話し合おうとしてもどちらかが欠席する、また「どっちの味方なんだ」と詰め寄られることもあった。そのたびに、「僕は平等だ」と丁寧に話を聞いてきた。外国人をひとくくりにするのではなく、一人ひとりの付き合いを大切にしてほしい。

藤井 竜太氏【愛知県営岩田団地(豊橋市)自治会会長】

 670世帯のうち4割が外国人世帯で、そのうち8割がブラジル人。団地に入居する際に、町内会費や連絡網、駐車場の許可申請の場所など、町内のルールを説明して自治会に加入してもらう。岩田団地では10世帯が1組になり、一年交代で組長を務めてもらう。組長の主な役割は、町内会費の集金、広報の回覧など。組の意見を自治会執行部にうまく伝えられないなど、外国人の組長が言葉で困らないよう、執行部に通訳・翻訳係を設置した。これは、日本語が分からない人にも組長をやってほしい、役目を負うことで住民としての責任感が生まれるのではないか、という思いからである。ほかに、老人会の案内など、町内の日本人向けアナウンスも必ず全て日本語とポルトガル語で流している。こうした取り組みから、寝るためだけに住んでいるのではなく、コミュニティーの一員であるという意識を高めてほしい。
 この団地が外国人との共生を目ざし動き出して、6〜7年。やっと少し成果が見られてきた。今日やって明日成果を出そうと思っても無理。長い目で辛抱強く進めていかなければならないのではないか。

臼井 秀明氏【栄東まちづくりの会事業推進担当副会長】

 栄東は名古屋市の中心に位置する繁華街。2003年の設立以降、フィリピン人をはじめとした東南アジアからの外国人の増加に伴い、外国人コミュニティー等を通じて、外国人とのつながりができてきた。3年前から取り組んでいる「落書き消し隊」には、専門学校の生徒や外国人にも手伝ってもらっていて、この活動が地域住民とのコミュニケーションを図るツールにもなっている。そのほか、イルミネーションの準備などにもたくさんの外国人に参加してもらっている。
 地域住民としての外国人という発想から、中区役所、NPO等との協働で、フィリピノ語のDV防止パンフレットやゴミの分別一覧表、防災手帳などを作ってきた。まだ外国人との共生に関しては、取り組みが浅いので、まずは、地域に住んでいる住民が、外国人との交流を図る機会を作っていくことが大切だと思っている。

■地域の国際化セミナー2010報告書 (PDF)


過去のセミナーの報告書はこちらからご覧になれます。

地域の国際化セミナー報告書

 - 2004年(PDF) - 2005年 (PDF) 2006年 (PDF) 2007年 (PDF) - 2008年 (PDF) - 2009年 (PDF) - 2010年 (PDF)


問い合わせ
(財)名古屋国際センター 交流協力課 多文化共生担当
〒450-0001 名古屋市中村区那古野1-47-1
TEL 052-581-5689(月曜日、2月及び8月の第2日曜日休館) 
vol@nic-nagoya.or.jp

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