1枚のはがきではじまる国際協力 “世界寺子屋運動”

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“世界寺子屋運動”は国際識字年(1990年)をきっかけに(公社)日本ユネスコ協会連盟によって始められた運動で、「2015年までにすべての人々に教育を」をスローガンに途上国への教育支援を行っています。(公財)名古屋国際センターが事務局を担う“世界寺子屋運動”名古屋実行委員会では、市民の皆様から寄せられた書き損じはがき等の資金化による協力活動を1990年から展開し、各国の識字教育プロジェクトを支援しています。2012年度は、アフガニスタン、カンボジア、ネパールの3か国、3つのプロジェクトに総額450万円の支援金を送りました。 プロジェクト現場からの報告をお届けします。(写真提供:(公社)日本ユネスコ協会連盟)

 

カンボジア

記念すべき10か所目の寺子屋が完成 アンコール寺子屋プロジェクトでは、寺子屋設立、識字クラス、復学支援クラスをはじめ、幼稚園クラスや職業訓練、寺子屋運営委員*への研修などを通じて、地域の人びとの生活向上を目ざしています。 2013年2月7日、世界遺産アンコール遺跡近郊にあるシェムリアップ州リエンダイ村に記念すべき10か所目となる新しい寺子屋が完成し、開所式典が盛大に行われました。村の人びと、政府関係者、日本からの支援者など600人以上が参加しました。  リエンダイ村の寺子屋では、識字クラスや技術訓練、地域性を活かした文化継承プログラムなど、持続可能な村の発展を目ざした活動が始まります。

新たに始まった復学支援クラス
新たに始まった復学支援クラス

中途退学児童のための復学支援クラス開始 カンボジアでは、小学校に入学できる子どもの数は改善し、95%以上になりました。しかし、小学校を卒業できる子どもは6割程度にとどまっています。 アンコール寺子屋プロジェクトでは、小学校を中途退学してしまった10歳から16歳の子ども100人に復学支援クラスを実施しました。 クラスの開始に先立ち、生徒たちには自転車、バッグ、文房具が提供され、学習環境もしっかり整いました。さらに、月に数回の給食サービスを行い、栄養状態の改善も目ざしています。

識字クラスの拡大  カンボジアでは、識字率は向上していますが、女性を中心に農村では未だに多くの非識字者がいます。アンコール寺子屋プロジェクトでは、寺子屋のある村で合計40の識字クラスを実施し、1,000人が9か月間のクラスを修了。基礎的な識字能力を習得できました。字の読み書きを学ぶことで、マッシュルーム作りや養豚などのテキストも読むことができるようになり、収入向上にもつながっています。

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ネパール

寺子屋での小学校クラス・識字クラス展開  2002年から始まった「ネパール寺子屋プロジェクト」では、世界遺産である釈迦の生誕地ルンビニおよびカトマンズにおいて、発展から取り残され教育を受けられなかった子どもや女性の非識字の撲滅を大きな目標に活動しています。 2012年度は、学校に行けない子どもたちのための小学校クラスをはじめ、女性をターゲットとした識字クラスを16か所の寺子屋で実施しました。

子ども連れで文字を学ぶお母さんたち
子ども連れで文字を学ぶお母さんたち

寺子屋では、小学校クラスの2学年と3学年あわせて364人が算数やネパール語などを学びました。3学年を終了し生徒たちの大部分は公立の中学校や小学校に編入しました。なかには、イスラム教の学校に進学する子もいます。  寺子屋の小学校クラスは、カースト制度の最も低い子どもたちなど、教育の機会の少ない子どもたちが学べる貴重な学習の場になっています。  識字クラスでは、351人の成人女性たちが卒業し、基礎的な識字能力を身につけることができました。クラスでは、読み書き以外にも、衛生や環境についての科目があり、女性たちは真剣に学んでいました。  また、寺子屋の運営スタッフたちが政府に助成金の申請を行い、政府予算を活用して民家を使った寺子屋で4,444人が識字クラスを受けることができました。  ほかにも、さらに知識を深めたい女性のための基礎教育クラス(小学校レベル)で18人の女性が学びました。

 

寺子屋での新たな試み(フェイスブック)  ルンビニの3か所の寺子屋では、活動をより多くの人びとに知ってもらうため、フェイスブックをはじめました。現在は、いくつかの写真がアップされているだけですが、翻訳ソフトなどを使い、日々の活動を紹介することを目ざしています。  1日の半分以上が停電しているネパールでは、本当ならパソコンは動きません。しかし、国連のユネスコからの支援で、寺子屋にはソーラーパネルが設置され、電気の心配はありません。インターネットは、寺子屋の情報発信以外にも、村の人びとが世界の情報に触れる機会にもなります。

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アフガニスタン

識字クラスを1,775人が卒業 30年間に渡る戦争で経済、社会インフラ、教育システムが壊滅的な打撃を受けたアフガニスタン。この地に現地事務所を開設し、世界寺子屋運動を開始してから10年が過ぎました。2012年度、アフガニスタンではこれまでの支援で建てられた13の寺子屋とその周辺地域において、1,775人もの人たちが識字教室に通い、読み書きを学びました。タリバン時代、女性への教育を禁じていたアフガニスタンでは、女性の識字率が未だに34%と低く、保守的な農村では、識字率が10%にも満たないところもあります。  女性たちが安心して通える民家型の識字クラスの普及をはじめ、内戦によって国内避難民となってしまった子どもたちのための識字クラスも実施しました。クラスの中では、平和を題材とした絵のコンテストなども開催され、生徒たちが楽しく学べるような工夫がされています。

14軒目の寺子屋が完成間近!  カブール市13地区にアフガニスタンで14軒目の寺子屋が建設されています。寒い冬が終わり、4月から建設が再開され、5月頃に完成予定です。  プロジェクトでは、新しい寺子屋での識字クラス実施のため、非識字者の調査を行いました。首都のカブールにおいても、字の読み書きのできる女性は多くはありません。2013年度からは、470人の教育機会のなかった少女や女性たちが20クラスで学ぶことになっています。大部分の女性たちにとって寺子屋での学びが初めての「学校」です。

カブール市13地区での女性の識字能力調査
カブール市13地区での女性の識字能力調査

多様な技術訓練を提供  アフガニスタン寺子屋プロジェクトでは、革製品作り、裁縫、カリグラフィー(習字)、カーペット製作などの技術訓練も継続して行われました。2012年度には、1,488人がさまざまな技術を身につけることができました。  技術訓練のほかにも、ハイダラバッド寺子屋では、女性たちのための料理教室も人気を集めました。Mantoとよばれる肉料理などさまざまな料理を作りました。お母さんたちにとっては、料理のレパートリーが増えるだけでなく、家の外に出てほかの女性たちとおしゃべりをする集いの場にもなりました。

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*実施団体とは? 実際に寺子屋の建設、運営を行う団体で、国によって異なる。(公社)日本ユネスコ協会連盟が調査し、信頼がおけると判断した現地の団体であることが多いが、同連盟が現地事務所を構え、国の機関をパートナーにして、実施しているプロジェクトもある。 *寺子屋運営委員とは? 村の長老、教育関係者、識字教室の卒業生などがメンバーとなり、現場のニーズに応じたプログラムを企画し、運営方針を決める。また、自立して運営していくための資金集めなども行う。

2013年度支援プロジェクトの計画: “世界寺子屋運動”名古屋実行委員会は、2012年度の3プロジェクトを2013年度も引き続き支援していく予定です。書き損じはがきの回収によって得られた現金や寄付金などから、1プロジェクト150万円ずつ、合わせて450万円を活用させていただきます。

連合愛知から 書き損じはがき25,308枚をいただきました。  連合愛知(日本労働組合総連合会愛知県連合会)から“世界寺子屋運動”名古屋実行委員会に書き損じはがき25,308枚(113万円相当)の寄付をいただきました。連合愛知からの寄付は今回で23回目、通算352,017枚(1,595万円相当)になりました。  5月7日に行われた贈呈式において、連合愛知の土肥和則会長(写真左)から名古屋国際センターの花井理事長に手渡されました。  ご協力いただいた皆様にお礼を申し上げます。  なお、この贈呈式の様子は5月8日の中日新聞でも紹介されました。

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