「教育こそが、ただ一つの解決策 」

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教育こそが、ただ一つの解決策
Education is the only solution.
~2013年 7月 12日、国連本部でのマララ・ユスフザイさんの演説より~

 

●すべての人に教育を
1990年のジョムティエン(タイ)での会議において「万人のための教育(EFA:Education for All)」宣言が出されて以来、国際社会は初等教育の完全な普及を目標に掲げてきました。しかし10年たってもその目標達成には程遠く、 2000年に再度、「ダカール行動枠組み*1」・「ミレニア
ム開発目標*2」において、 EFAに向けた目標が掲げられました。
今年は、その目標の達成年。しかし、読み書きのできない大人(成人非識字者)は7億 7,400万人にものぼり、「開発途上国の最貧困層の若い女性全員が識字能力を獲得するのは、 2072年になる見込みである」と報告されています。また不就学児童数も5,700万人と報告*3され、目標達成が難しい中、国際社会はポスト2015の教育目標に向けた枠組みの策定を進めています。
貧困や紛争のため、教育を受ける機会を逸し、そのために読み書きや計算ができず、その結果、安定した職業に就くことが難しく、安定した収入を得ることができない。このような貧困のサイクルから抜け出せず、その子どもたちもまた、十分な教育が受けられなくなっています。日本ユネスコ協会連盟は1989年より「ユネスコ世界寺子屋運動」を展開し、こうした貧困の悪循環を断ち切るために、「識字教育」を中心とした教育支援、地域の活性化や女性の自立につながる支援を行っています。

 

●●国連ミレニアム開発目標における教育分野の目標●●
・初等教育の完全普及の達成すべての子どもが男女の区別なく初等教育の全課程を修了できるようにする。
・ジェンダー平等推進と女性の地位向上すべての教育レベルにおける男女格差を解消する。

 

◆◆ダカール行動枠組み◆◆
(1)就学前保育・教育の拡大及び改善。
(2)すべての子どもたちが無償で質の高い義務教育へアクセスでき、修学を完了できること。
(3)すべての青年及び成人の学習ニーズが満たされること。
(4)成人(特に女性)の識字率の50%改善を達成し、全ての成人が基礎・継続教育に対する公正なアクセスを達成すること。
(5)初等・中等教育における男女格差を解消し、教育における男女の平等を達成する。
(6)読み書き・計算、基本となる生活技能など、教育のすべての局面における質の改善及び卓越性の確保。
※(2)・ (4)・ (5)は2015年が達成目標年。

 


ユネスコ世界寺子屋運動 2014年度活動報告

 

名古屋国際センターも、 1990年から“世界寺子屋運動 ”名古屋実行委員会の事務局を担い、「書き損じはがきキャンペーン」(詳細こちらをご覧ください)を通じて資金を集め、日本ユネスコ協会連盟の活動を支援しています。
こうした支援が、現地でどのように役立てられているのかを、3つのプロジェクトの現場から報告します。
写真提供:(公社)日本ユネスコ協会連盟

 

【カンボジア】
・主な対象:就学前児童(3~5才)、子ども、成人(15~45才)
・非識字率:26%

◆カンボジア・アンコール 寺子屋プロジェクト
内戦がもたらした貧困の連鎖を寺子屋が断ち切る

本プロジェクトでは、識字クラス、復学支援クラスをはじめ、幼稚園クラスや職業訓練、寺子屋運営委員への研修を通じ、人びとの生活向上と子どもたちが安心して学べる環境づくりを目ざしています。

cambodia

●州内13軒目の寺子屋完成
シェムリアップ州スヴァイレウ郡に「ロハル寺子屋」が完成し、 2015年 2月に日本からの支援者や現地政府から教育大臣も迎え、開所式典が行われました。ロハル村はアンコール遺跡のある市街地から約 100kmで、観光産業の恩恵を受けられない貧しい地域です。今まで村には大人が学べる場所がなく、およそ26%もの人びとが読み書きできませんが、村人 たちは寺
子屋の開所を機に、村の発展に力を尽くそうと張り切っています。

●教育省への全面協力と『寺子屋マニュアル』の完成
本プロジェクトは、政府教育省と覚書を結び、カンボジアの地域学習センター(寺子屋)モデルの構築と発信を担っています。 2014年は、日本ユネスコ協会連盟カンボジア事務所の全面協力で、国の基準となるマニュアルが完成しました。

●識字クラスと復学支援クラスの取り組み
2014年度は25クラス625人が識字クラスで学びました。一方、依然として小中学校段階での中途退学は後を絶ちません。貧困などのため、小学校を退学 してしまった10~1 6歳の子どもたちの復学支援クラスでは、6クラス150名が学びました。明け方から畑仕事、家畜の世話、水
汲み、食事作りと働きづめの子どもたちにとって、1日 2時間の勉強と友達との時間はかけがえのないものです。

●女性のアイディアを収入向上に
各寺子屋では、収入向上と将来的な自立運営を目ざした職業訓練を行っています。2 014年度は、タトラウ寺子屋の女性たちの希望で、州女性局の技術トレーニングを受け、絹製品作りを始めました。また、販路拡大の努力が実り、世界遺産で あるアンコール遺跡のタ・プローム寺院にあるお土産屋さんには、寺子屋の工芸品専用コーナーができました。

 


【ネパール】
・主な対象:非就学児童、成人女性(15才以上)、青年(18~40才)
・非識字率: 40%

◆ネパール 寺子屋プロジェクト
カーストを超えるための学習

国を挙げてカーストの問題に取り組むネパール。本プロジェクトでも、同国南西部ルンビニに住む低いカーストやイスラム教徒の成人女性に、識字クラスや職業・技術訓練などを通じて、人間としての誇りが持てるようにと活動しています。またそのような女性の家庭の子どもたちが、小学校を退学した場合、家の近所で小学課程の勉強が続けられる小学校クラスも進めています。

nepal

●政府の識字活動に協力して
ネパール政府は、2015年中にすべての、文字の読み書きができない人をなくそうと、3か月の集中識字コースを官民共同で展開しています。ネパールでの世界寺子屋運動のパートナー「ノンフォーマル教育ナショナルリソースセンター(NRC-NFE)」は、ネパール識字化計画(LINEM)と呼ばれるこのプロジェクトに協力しています。
ルンビニのパカディ、ラバニの2村では、257クラス5,136人が引き続き学習中で、ネパールの年度の終わりに合わせ、6月まで継続されます。
またNRC-NFEは、3か月のみの基礎識字では十分でないと考え、自主的に中級識字プログラムを開始。81クラス1,530人が学習しています。

●学校を退学した子どもへの取り組み
大人の識字にいくら力を入れても、子どもたちが学校を退学してしまったら、また文字の読み書きのできない人口が増えてしまいます。
ルンビニでは、退学した子どもが自宅近くの空家などで、小学校教育を子どもたちの都合のいい時間帯に行う「小学校クラス」を引き続き実施中です。
カーストの低い人の多い地域やイスラム教徒の地域を選び、計14クラス281人が学習中です。
4月半ばには卒業試験があり、合格した子どもには進学の道がひらけます。

●寺子屋の運営は自分たちの手で
現在、ネパール南西部のルンビニと一部カトマンズの谷周辺で16か所の寺子屋が活躍していますが、それぞれの寺子屋は地域で委員会を作って自主的に運営されています。寺子屋で自主財源を生み出し、外部の支援がなくても、自分たちの力で寺子屋を活発にしていこうという夢を実現するために、委員会の代表たちが集まって協議を行っています。

ネパールでは、 2015年4月 25日に発生した地震によって、 7,000人以上の犠牲者がでており、また多くの方が被災されるなど国内に甚大な被害をもたらしました。
カンボジアの寺子屋プロジェクトを担当する「ノンフォーマル教育ナショナルリソースセンター」によると、 2015年 5月 7日現在、カトマンズの4軒およびルンビニの12軒の寺子屋は無事だったそうです。また、地震の被害が大きかったカトマンズにおいては同センターのスタッフが現地のコミュニティの被災状況の調査を行っています。その詳細については、(公社)日本ユネスコ協会連盟の公式サイトでご覧いただけます。http://www.unesco.or.jp/

 


 

【アフガニスタン】
・主な対象:子ども、成人(主に女性)
・非識字率: 66%

 

◆アフガニスタン 寺子屋プロジェクト
世界で最貧困、最低識字率、紛争のただ中での学習

最近あまりニュースで取り上げられないアフガニスタン。しかし、反政府勢力のテロは首都圏内でも頻発しています。アフガン特有の社会条件のため、農村部での文字の読み書きのできない女性の割合が99%にも及ぶ場合がありますが、寺子屋の人たちは、このような環境にも負けずに、学習を続けています。

afghanistan

●15軒目の寺子屋建設中
2015年度は、カブール市 16地区で寺子屋を建設する予定でしたが、アフガニスタン政府の政策変更で用地取得が困難となり断念。代わりに、カブール市西北西約 20kmのカブール県パグマン郡バボ村に、新たな寺子屋を設置することとなりました。
10月下旬に起工式が行われ、寺子屋の建設が始まりました。アフガニスタン教育省建築局のスタッフが、定期的に建設の進捗を確認しています。
2014年は異常気象で雨が多く、工事が遅れ気味となり、12月に入ると厳寒期に入り工事がいったん中止となりました。
4月に入り気温が温かくなったので工事は再開。数か月先の寺子屋の完成を、バボ村の人たちは楽しみにしています。

●識字クラスの卒業式
2014年度は、カブール市 13地区( 20クラス426人)、カブール周辺の国内避難民キャンプ(2 0クラス495人)、バーミヤン県( 5クラス248人)で識字クラスが行われ、新しく1,169人が識字者となりました。
9か月のコースを終わった学習者の卒業式が3月に開かれました。(クラス自体は12月~ 1月初めに終わるのですが、厳寒期なので卒業式は3月末になります。)家事や育児をしながら、辛くてもめげずに学習した人たちの顔に笑みがこぼれます。

●よりよい暮らしを求めて
カブール近郊のデザブス寺子屋。いまここでは女性たちが収入を何とか増やして、暮らしを良くしていこうと、手工芸(ビーズ細工)の訓練をしています。 2か月間の訓練でしたが、写真のような可愛い作品ができつつあります。
将来の製品化を目ざし、さらに研鑽をつむ予定です。

 

 


“世界寺子屋運動 ”の活動を通して、これまでにアフガニスタンでは14軒、ネパールでは16軒、カンボジアでは13軒の寺子屋が建てられ、およそ10万6千人もの人々が学ぶことができました。この“世界寺子屋運動”への継続的な支援を行うために、名古屋国際センターは、“世界寺子屋運動 ”名古屋実行委員会の事務局を担い、書き損じはがきキャンペーンを実施しています。

 

2015年度支援プロジェクトの計画
“世界寺子屋運動 ”名古屋実行委員会は、 2014年度の3カ国 3つのプロジェクトを2015年度も引き続き支援していく予定です。書き損じはがきの回収によって得られた現金や寄付金などからアフガニスタンとカンボジ アに250万円ずつ、ネパールに150万円、合わせて650万円を活用させていただきます。

 


*1 2000年にダカール(セネガル)で開催された「世界教育フォーラム」において、ジョムティエンでの会議の後のEFAの進捗状況を把握し、今後の方向性に関する討議が行われた結果採択された6つの目標。
*2 Millennium Development Goals(MDGs)。 2000年 9月にニューヨークで開催された国連ミレニアム・サミットで採択された国連ミレニアム宣言をもとにまとめられたもので、2015年までに達成すべき8つの目標を掲げている。
*3 「EFA グローバルモニタリングレポート2013/4」より。数字は2011年時点。
<参考文献>
●アジ研 ワールド・トレンド 2014年 12月号 第230号
●EFA グローバルモニタリングレポート2013/4
●公益社団法人日本ユネスコ協会連盟ウェブサイト(2015年4月 15日閲覧) http://www.unesco.or.jp/terakoya/
●外務省「ミレニアム開発目標(MDGs),ポスト2015年開発アジェンダ http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/doukou/mdgs.html