特集「グローバル社会に向かう若者たち」

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最近では当たり前のように使われる「グローバル」という言葉。そもそもは、1970年代、世界各地で生じた環境問題が、人類的課題として認識されたことから広く使われるようになったと言われています。その後、1990年代に入ると、特にビジネス面においてグローバルという言葉が強調されるようになりました。企業の海外進出が進み、人々の移動が活発になることで、

世界市場における他国の企業との競争や、異なる文化背景を持つ人々の共生が進む中、世界全体・地球規模という「グローバル」な視野が、人々に求められるようになってきました。
似たような言葉で「インターナショナル」があります。こちらは国際化・国際交流の気運が高まっていた80年代によく使われていましたが、この言葉は、「国と国の関係」を中心として世界を見るという発想といえます。一方のグローバルは、「地球」を一つの単位として地球全体・世界全体を見る、という視野に立つものなのです。
2000年代に入り、世界は急速にグローバル化が進んだと言われています。ビジネス面だけに限らず、そうした社会の動きにともない、「グローバル人材」という言葉をよく耳にします。
このグローバル人材とは、いったいどのような人々を指しているのでしょう。必要とされる資質や能力は、いったいどのようなものなのでしょう。またそうした能力を身につけるためには、どのような教育が必要と考えられているのでしょうか。

グローバル人材とは?

政府は、2011年4月に発表した「産官学によるグローバル人材の育成のための戦略」のなかでグローバル人材を次のように定義づけています。

― 世界的な競争と共生が進む現代社会において、日本人としてのアイデンティティを持ちながら、広い視野に立って培われる教養と専門性、異なる言語、文化、価値を乗り越えて関係を構築するためのコミュニケーション能力と協調性、新しい価値を想像する能力、次世代までも視野に入れた社会貢献の意識などを持った人間 ―

いわゆる「内向き志向」の若者が増加していると言われる中、こうした人材の育成を図るため、2014年、文部科学省は高等教育機関の国際競争力向上を目的に、スーパーグローバル大学( SGU)を創成しました。さらには高等学校においても、社会の課題に関心を持ち、地球規模の視点に立った課題解決力等を身につけ、将来、国際的に活躍できる人材の育成に取り組む学校をスーパーグローバルハイスクール(SGH)に指定するなど、若い世代の人材育成に力を入れています。

今月号は、「グローバル人材」をキーワードに、県内の高校や、地元企業で世界に向かう若手社員に取材しました。

 


●世界中どこでも役立つ人になろう                    名古屋市立名東高等学校●

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「国際感覚豊かな市民性を育てる」という名古屋市の基本方針を受け、1984年に普通科と英語科( 2010年度より「国際英語科」に変更)併設校として開校された名古屋市立名東高等学校。その教育目標の一つには「広い国際的視野に立つ人間の育成」が掲げられており、設立当初より、生きた英語教育、生きた国際理解教育に力を入れています。
特に国際英語科では、英語科時代の教育目標である「思いのままに英語を使いこなそう」に、「世界中どこでも役立つ人になろう」という目標を追加しました。そして、コミュニケーションに必要な確かな英語力の習得と異文化理解の他、課題解決策の探求と行動力を身につけるための新カリキュラムを作成。それが、名東高校独自の教科「ワールドスタディーズ」(2011年度より実施)です。

●目ざせ、国際人!

「ワールドスタディーズ」は、国際英語科1・2年生の必修教科です。教師手作りの教科書で、2015年度は「世界の現状を知ろう」「世界の課題を考えよう」「世界に貢献するための文化理解」「国際協力の取り組み」「持続可能な社会へ」「朝鮮半島と日本」私たちの未来を考えよう」の7つの分野で構成されています。ここで生徒たちは、知識を深めると共に課題解決のための方法論を学びますが、リサーチやワークショップ、アクティビティを通し、理論的・多面的・総合的に考える力やコミュニケーション能力、他者と協力する力、そして行動力を身につけます。

国際理解教育やワークショップの際には外部講師を招いて話を聞いたり、また夏休み等を利用して生徒たちが NPOやNGOなどの活動に参加したりと、実際の社会で活動している人々の現場や思いに触れる機会が設けられています。
そして、この学びの集大成が、英語でのプレゼンテーションです。生徒たちは、自分たちで課題や発表したいことを見つけて準備を進め、2年生秋の修学旅行では、姉妹校の城南(ソンナム) 外国語高校(韓国)を訪問し、英語でのプレゼンテーションを行います。つまり、リサーチ・ワークショップ・アクティビティ →フィールドワーク→プレゼンテーションという一連の流れの中で、そのノウハウを学ぶことができます。

●行動できる高校生に

こうした受け身ではない能動的な授業を通し、生徒たちは、自ら考え、行動するためのノウハウと情熱を育みます。
先日も、あるNPOの方の話を聞いた生徒たちから、「フィリピンの子どもたちのために学校を建て、将来的に学生間の交流を図る」ことを最終目的とした「ハガキで世界を Happyにするプロジェクト」の計画案が提出されました。 WHY(理由)・ WHAT(何を)・WHEN(いつ)・WHO(対象)・ HOW(方法)・ GOAL(最終目標)という達成までのプロセスを明確に記載した計画表に基づいて、生徒たちは現在、プロジェクトを実施しています。こうした思考力と行動力の基礎を高校時代に築くことができるためか、「卒業してからさらに伸びる子が多いです」と永井教頭は言います。卒業生には、インドネシアで月刊情報誌の編集長を務めている人や、文系の大学へ進学したにもかかわらず卒業後に一念発起してドイツへ医学留学し、今も現地で医師として活躍している人、海外の大学を卒業し、全国紙の新聞記者として頑張っている人などがいます。

Go global! Go higher! Go for it! (世界に臨み、高きを求め、自ら歩む) ~名東高校スローガンより

 


 ●「自立した学習者」を育てる             名古屋大学教育学部附属中学校・高等学校●

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名古屋大学(以下、名大)の敷地内にある名古屋大学教育学部附属中学校・高等学校は、2006年度に文部科学省よりスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の研究開発指定を受け、以降、大学教員による連続講座「学びの杜」を実施するなど、大学と連携した講座やカリキュラムを実施してきました。そして2015年度、新たにスーパーグローバルハイスクール(SGH)に指定されました。トップ型スーパーグローバル大学(SGU)である名大と一体化し、「ものごとの本質をとらえ、国際的視野を持って探究し続ける、勇気と判断力のある“自立した学習者”を育てる」探究型カリキュラムを構築することを研究主題とし、ますます大学との連携を深めています。

●自ら課題を見つけ、探究していく力を育てる

SGHカリキュラムの中心となるのが、中・高6年間の必修科目「総合人間科」。これは、グローバルな視点を持って身近な課題を意識し、自分たちで解決策を見つけていこうという授業です。中学校では、学年ごとにテーマを設定(1年次は「生き方を探る」、2年次は「生命と環境」、3年次は「国際理解と平和」)しており、生徒たちは学年テーマにそって研究課題を設定し、研究を実施します。そして高校では、中学の学びの中から特に興味のある分野に関して、仮説検証型の学習をしていくことになります。
高校では「心」「生命」「自然と環境」「文化」「人権と共生」「平和」の6つの領域での課題研究を進める中で、生徒たちは論理的・多元的に考える力を育てていきます。その中で、例えば上記の「心」「生命」「自然と環境」の分野で学んだ生徒たちは、モンゴルの高校を訪れ、現地の高校生とディスカッションする場が設けられています。経済成長と共に環境の悪化や公害問題を抱えるモンゴルは、ちょうど環境問題を抱えていた1960年代以降の日本の姿と重なります。生徒たちは日本の環境への取り組みや、今後のモンゴルに必要な対策について、フィールドワークやディスカッションを通して現地の高校生と共に探っていきながら、判断力や表現力といった実践的な力を養っていきます。

●「答えのないもの」を見つけるために

その他にも、名大留学生を招いて行う「アクティブラーニング・イン・イングリッシュ」も始まっています。英語圏に限らず、1回の授業で1か国、計10か国の留学生が、若者の目線から見たリアルな母国の社会問題を語り、それに対して同世代に近い高校生たちが英語で議論をし、解決策を探っていくという面白いプログラムです。シリアやレソト(アフリカ)、モンゴルなど、世界の様々な国と地域からの留学生に参加してもらう予定になっています。
こうした様々な課題探究型のカリキュラムを通して、生徒たちは自ら考えていく力を身につけていきます。お話を伺った三小田(さんこだ)教諭は、「中学校や高校での勉強は、ともすれば○か×、答えのあるものを勉強していくのがほとんどです。しかし、大学の研究や社会人になった時に直面するのは、答えのない課題。答えのないものに対して自分たちでいかに考え、見つけていくかという事が大切」と言います。
こうしたユニークな課題探究型のカリキュラムを通し、生徒たちはものごとの本質をとらえる力を養い、自分をしっかりと持って大きく成長していくことになるのです。

 


● 世界中で渡り合える人材を ●

名古屋の地で創業83年を迎えた東朋テクノロジー株式会社(中区)では、数年前、新人を対象に、中国にて語学研修と自社上海工場での実地訓練を併せて行う研修を行っていました。「国内に市場を限定せずに、世界中で渡り合える人材を育成していきたい」との考えを持つ企業で働く若手社員3名にお話を伺いました。

●求められるコミュニケーション力

三谷さん(左)と山村さん
三谷さん(左)と山村さん

これからはグローバルな時代だ、と学生のころからずっと言われていた山村悠太さん(システム開発・開発設計)は、2010年に入社してすぐ、新人を対象とした上海(中国)での研修に興味を持ち、参加しました。現地の大学の語学研修で様々な国から来た人々と共に中国語を学び、また工場で現地の人々と関わる中で、「新人の上、コミュニケーションが取れないと信用してもらえない」と感じました。反日デモのひどい時でもあり、同胞人意識の高い中国人でしたが、いったん中に入り、仲間になると、いろいろと助けてくれました。研修を終えて帰国しましたが、その後すぐに上海に渡り、2013年まで現地の工場に勤める間、互いを尊重し合えるコミュニケーションを心掛けたそうです。なるべく通訳を介さずに自分の言葉で伝える努力を見せることが、信頼関係を築くことになると感じました。

三谷(みたに)拓(ひろむ)さん(クリーンシステム・装置設計)は、入社後10年ほどたった2013年、上海の工場に赴任しました。日本人と中国人の仕事上の常識の違い、たとえば日本では、社員は仕事全体がうまく回るように目を配るが、中国では自分の担当業務のみで、個人主義的であると感じました。そうしたことがわかってからは、仕事全体をスムーズに回すための自分の立ち位置と役割を意識できるようになりました。

マッケンジーさん
マッケンジーさん

米国出身のマッケンジー・グラームさん(ファインメカ事業部・技術1部)は、大学時代の1年間の日本留学を経て、卒業後に再来日。しばらくは米国人の経営する会社に勤めましたが、日本の会社でもっと国際的な仕事の経験を積みたいと考え、現職に。日本独特の「根回し」や全体のコンセンサス(意見の一致)のために求められるコミュニケーション力について、「歴史や文化、考え方、気持ちの伝え方が異なる。相手の背景に配慮したコミュニケーションと同時に、言葉以上に経験から得られる自信が必要」と言います。

●経験を積み、人間力を高める

世界市場で、海外の取引先を相手に仕事をする中で必要とされる資質について聞いたところ、「右に倣(なら)えではなく、自分で考えて解決していくことが重要。ただ会社では、最後には“結果を出す”というところにつながらなければいけない」(山村さん)、「こちらの我を通すのではなく、自分の意見や考え方をきちんと持った上で、相手の話を聞き、折り合う点を見つけて解決方法を導いていくことが大事。ある程度若いうちからその方法について学べると、社会人になった時、頭の柔らかい、対応できる人材として考えられる」(三谷さん)と、それぞれの考え方を教えてくれました。

またマッケンジーさんは、「グローバルという点に限らず、何事も経験とパートナーシップが大切。リスクを減らし、準備を整えた上でのトライは、たとえ失敗しても得るものが必ずある」と語りました。

東朋テクノロジー株式会社
工場設備機器や半導体・液晶製造装置などの他、空調設備工事なども手掛ける名古屋の産業機械・機器メーカー。

 

 

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