世界寺子屋運動 カンボジア・スタディツアー報告

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“世界寺子屋運動”名古屋実行委員会は、1990年より「書き損じはがき」の回収を通して途上国の識字運動を支援してきました。そして、活動21年目を迎えた今年、(社)日本ユネスコ協会連盟のご協力のもと、市民レベルの「目に見える国際協力」を推進するため、支援先の一つであるカンボジアへのスタディツアーを実施しました。1月30日~ 2月5日の7日間、日頃書き損じはがきの回収にご協力をいただいている「世界寺子屋運動推進協力会議」構成団体のメンバー8名と、回収したはがきの仕分けをしてくださっているNICのボランティアの方3名、事務局2名の計13名でカンボジアを訪れ、寺子屋の現状視察を行うとともに、現地の人々との交流を深めました。

1 事前学習-日本ユネスコ協会連盟カンボジア事務所


1 月31日午前。シェムリアップ市内にある、日本ユネスコ協会連盟カンボジア事務所を訪問。現地職員からカンボジアの概要と、アンコールプロジェクトについて説明を受けました。戦争により多くの知識層が命を落とし、教育者不足に陥ったシェムリアップ州においては、1994年に開始された識字プログラムが緊急援助的に始まったことや、戦争による貧困、識字率の低下という背景もあったことを学びました。その後、2006年から始まったアンコールプロジェクトでは、識字教育だけでなく、村人の自立生活を支援する収入向上プログラムや、寺子屋運営を支える地域リーダーの育成など、「村人の、村人による、村人のための寺子屋」を目ざして村人主体の運営に取り組んでいます。

2 水上に浮かぶ?! チョンクニア村水上寺子屋

1月31日午後。チョンクニア村にある水上寺子屋を訪問。雨季には村全体が「水上の村」となり、この寺子屋も水に浮かんだ状態になることから「水上寺子屋」として知られています。訪問時は乾季であったため、残念ながら水に浮かぶ姿は見ることができませんでしたが、低めの高床造りで地面に水が残っている様子もまた興味深く感じました。

村人の中から選挙で選ばれた6名の現地寺子屋運営委員の方に迎えられ、寺子屋での活動内容について説明を受けました。チョンクニア村には、110世帯8,083人が暮らしており、識字教室開始当初の学習者は45人。そして、開所当初から現在まで、識字教室の他、図書館運営、レース編み教室、手工芸教室、音楽クラス、英語クラスの開設など、活動を広げています。この寺子屋での課題は、図書の管理ができず破損や紛失が多いことで、現在貸出システムを考案中とのことでした。

活動説明の後は、音楽クラスによる歓迎の演奏が行われ、しばし伝統楽器の音色と歌声に包まれました。普段は結婚式や仏教セレモニーで演奏を行っており、収入は1回約80ドルで、そのうち20%は寺子屋の運営費として納められます。

また、ホテイアオイという水草で作った手工芸品の販売も行っており、参加者は様々な製品をおみやげに購入しました。

3 子どもたちの出迎えに感激! ポック郡 ルエルコミューン寺子屋開所式典

2月1日午前。待ちに待ったルエルコミューン寺子屋の開所式典に向かいました。ホテルを朝の6時半に出発し、悪路を経てバスを降りると、たくさんの子どもたちが日本とカンボジアの旗を振って私たちを待っていました。笑顔で迎えてくれる子どもたちに、参加者一同「感激」の一言。村をあげての一大イベントであると、このとき実感しました。

ポック郡の知事、州の副知事の方々と同じく、私たち13名も来賓席にて式典に参加。他の来賓の方々があいさつする中、私たち“世界寺子屋運動”名古屋実行委員会からも、松原団長(名古屋志段味郵便局長)が代表であいさつされ、今回の訪問の経験を日本の人々に伝え、さらなる支援につなげていくこと、また、日本での「はがき」による支援活動によって建てられた寺子屋で、みなさんに読み書きの楽しさを知っていただきたいと述べられました。そして、遠藤副団長(名古屋市地域女性団体連絡協議会)からは、学習に役立てていただくよう、記念品の時計が贈呈されました。式典の最後には、参加者全員がテープカットと署名をさせていただき、私たち一人ひとりの名前がこのルエル寺子屋に残ることはとても感慨深いものでした。

4 村人の自立をめざして-収入向上プログラム
2月1日午後。クロベイリエルコミューン・プレイクロッチ寺子屋を訪問。この寺子屋は、唯一扉がはめられていないオープンスタイルで、とても風通しの良い寺子屋です。ここでは、村人の自立生活を支援する収入向上プログラムを見学しました。まず、地域資源であるロッピエ(籐)を利用した手工芸品の作り方を説明していただきました。最近ロッピエが地元で取れなくなってきているため、今は他の州まで行っているとのことでした。手間暇かけて草を編める状態にし、後は根気よく編んでいきます。1日にできる製品は大体2個で、売り上げの10%は寺子屋の運営費になるそうです。

その後、養豚について学ぶため、豚を飼育している家庭を訪問しました。4頭の子ブタを飼育しているロン・バンナさんは養豚を始めて1か月。通常7~8か月かかる飼育を4か月で行う短期間の養豚(肥育)に挑戦しています。寺子屋から資金を借りて約100ドルでブタを買い、育て上げると1頭100~120ドルで売れるそうです。しかし、昔の感覚で放し飼いをしてしまうと病気を拾ってしまうことも多いため、ユネスコの担当者が定期的に飼育家庭を訪問し、指導を行っています。

5 寺子屋から広がる夢-夜間寺子屋訪問

 2月3日夜。2月1日の昼間に訪れたプレイクロッチ寺子屋の夜間教室を見学しました。夜間寺子屋は「識字後クラス」で、読み書きの学習終了後に学習を続けたい人のためのクラス。14歳~45歳が対象で、子どもも含め学習者のほとんどは昼間働いているため、夜の授業は7時から9時までです。この日のテーマは「衛生」で、手を洗うことや、鳥の病気について学習していました。鳥の病気の兆候の見分け方、伝染病についてなど、たった一つの電球の明かりの下、真剣にノートを取る子どもたちの姿が目に焼きつきました。
学習者との交流タイム。「将来の夢は何ですか?」との問いに、「ビジネスウーマンになりたい」「洋服の仕立屋さん」「畜産をたくさんやりたい」「有名な先生」など、寺子屋での学習を通して将来の夢が大きく広がっているのを感じました。

地域の拠点としての寺子屋

世界寺子屋運動は、識字教育の普及を目的に始まり、実際に寺子屋の建設によって多くの人々が文字を学ぶ機会を得ました。しかし、今回、識字教育の先にある村人の自立を目ざした生活向上のためのプログラムを視察して、私たちの支援によって建てられた寺子屋が、識字教育の場としてだけでなく、人々の自立の可能性にあふれた場として地域に存在していていることを感じました。
ツアーを終え、寺子屋が村の人々の拠点となり、人々の生活の向上に役立ち、将来長く使用されていくことを願うとともに、このツアーに参加した私たち一人ひとりが、現地で学び得た経験を多くの人に伝え、今後の支援活動に活かしていきたいと思います。

(交流協力課 小林祐子)

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