一枚のはがきではじまる国際協力 〝世界寺子屋運動〞

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21次支援の報告と22次支援の計画

“世界寺子屋運動”は国際識字年(1990 年)をきっかけに(公社)日本ユネスコ協会連盟によって始められた運動です。現在は「2015 年までにすべての人々に教育を」をスローガンに途上国への教育支援を行っています。
(公財)名古屋国際センターが事務局を担う“世界寺子屋運動”名古屋実行委員会では、市民の皆様から寄せられた書き損じはがきの回収などを通じた協力活動を展開し、資金を作り、各国の識字教育プロジェクトを支援しています。2010 年に実施された第21次支援のうち、アフガニスタン、カンボジア、ネパールの3か国、3 つのプロジェクトに総額450万円の支援金を送りました。
プロジェクト現場からの報告をお届けします。 写真提供:(公社)日本ユネスコ協会連盟

 

カンボジア

プロジェクト名:カンボジア・アンコール・寺子屋プロジェクト(寺子屋を核とする識字教育と職業訓練事業)
実施団体*:日本ユネスコ協会連盟カンボジア事務所、シェムリアップ州教育局
主な対象:就学前児童(3 ~ 5歳)、子ども、成人(15 ~ 45歳)
非識字率:24%

2つの寺子屋が仲間入り
2010年度は、シェムリアップ州プク郡ルエルとチクライン郡ドンソック村に新たに寺子屋(現地ではCLC: Community Learning Centerと呼ぶ)が完成しました。
ルエルでは、2011年2月1日に、チェイチャップ次官とマオ・ブティー州副知事、さらに、カンボジアの寺子屋運動を長く支援している名古屋国際センターのスタディツアーメンバーを迎え、800人を超す村人とともに寺子屋の誕生を祝いました。
今、寺子屋では村人が待ち焦がれていた識字クラスが行われています。また村人の生活を少しでも豊かにしたいと、寺子屋運営委員*会は、開所式典で集まった資本金約100ドルを元に、村人に低利子で少額の貸付を行うマイクロクレジット活動を開始しました。
一方、ドンソック村では、2 月17 日に寺子屋が完成したばかりです。机や椅子、本棚など、学習活動に必要な機材が揃うのを待って、開所式典を行う予定です。

完成したて!ピカピカのドンソックCLC

寺子屋での教育活動が充実
シェムリアップ州教育青年スポーツ局との連携で、州内7郡で25の識字クラスを開始し、525人が学習中です。寺子屋が完成したばかりのルエルとドンソックでも、それぞれ3 教室ずつ民家を利用した識字クラスが実施されています。
また、コックスロック、プレイクロッチ、センソックリャンセイの寺子屋では、寺子屋運営委員会が実施する4つの識字クラスに加え、識字教育を終了した学習者向けの識字後クラスがスタートし、15歳から45歳までの204人の学習者が、日曜を除く毎晩7時から9時まで学んでいます。

収入向上プログラムも多彩に展開
養豚、養鶏、養牛などの畜産活動や自助グループの支援、音楽隊、米銀行の結成など多彩な収入向上プログラムを実施し、352 人がさまざまな学びを得ました。
また、2ヵ月に一度、寺子屋を会場に7つの寺子屋運営委員会メンバーが情報共有会合を開催し、それぞれの寺子屋の活動の進捗状況を共有し、抱えている課題に対する対応策を話し合うことで、互いを励まし合い、問題解決能力を高めています。こうした研修の積み重ねが、寺子屋の自立運営力アップにつながっています。

ネパール

プロジェクト名:ネパール・ルンビニ・寺子屋プロジェクト
実施団体:ノンフォーマル教育ナショナルリソースセンター
主な対象:非就学児童、成人女性(15歳以上)、青年(18 ~ 40歳)
非識字率:45%

2002 年から始まったネパール寺子屋プロジェクトでは、釈迦の生誕地であるルンビニ県において12、カトマンズ近郊で4の寺子屋が地域の人びとによって運営されています。各寺子屋では識字や小学校クラスだけでなく、農業や畜産の研修など、地域の人びとの生活向上のための活動が行われています。

識字クラスの展開と活動
2010 年度にも、地域の人びとのために多様なクラスが実施されました。
小学校に相当するFSP(フレキシブル・スクーリング・プログラム)、幼稚園に相当する就学前クラスECD(アーリー・チャイルド・ディベロップメント)、成人女性のための初等教育クラス、識字クラスを修了した生徒を対象とした識字後クラス、ネパール政府が展開する「全国識字キャンペーン」で実施される識字クラスなど多くのクラスが展開されました(表1 参照)。

【表1 2010年度の生徒数】
クラス名     クラス数   生徒数
識字後クラス      12    240
成人女性識字クラス    18    360
FSP(小学校クラス)   21   537
ECD(幼稚園クラス)   17   409
成人女性初等教育   7    350
全国識字クラス         137  3,397
合計                    212  5,293

お母さんたちが子ども連れで学ぶクラス

このような識字クラスは、生徒が寺子屋の建物の近くに住んでいる場合は寺子屋の建物で、生徒が建物から遠い場合には民家などを利用してさまざまな場所で実施されています。

さまざまな収入向上活動
ルンビニ県の主要な産業は農業ですが、灌漑(かんがい)施設の不備により、雨水に頼った不安定な収入しか得られないのが現状です。
そのため、地域の人びとが安定的な副収入を得られるよう、さまざまな収入向上グループを形成しています。グループメンバーは専門家による野菜栽培、ヤギ飼育、魚の養殖、養蜂、養鶏などの研修を受けることで、学んだ知識や技術を活かして収入向上を目ざしています。

アフガニスタン

プロジェクト名:アフガニスタン寺子屋プロジェクト
実施団体:日本ユネスコ協会連盟アフガニスタン事務所、アフガニスタン教育省識字局
主な対象:子ども、成人男女
非識字率:72%

デルヤヒヤ村に新たな寺子屋が誕生!
カブール県デサブ郡デルヤヒヤ村にアフガニスタン国内で13 番目となる寺子屋が新たに完成しました。教室、事務所、会議室などを兼ね備えた立派な建物です。地域の人びとの強い願いから設立が決定し、建設用地も地域の地主から寄付されました。
2011 年1 月31日に行われた開所式典には、同国の教育省識字担当副大臣をはじめ、地域住民や多くの関係者が参列し、寺子屋完成の喜びを分かち合いました。これからこの寺子屋では、識字教育のほか、技術訓練を通して人びとの生活を豊かにするための活動が行われます。
また、2010 年度は、寺子屋や民家を活用し、カブール県で13、パルワン県で4、バーミヤン県で7 つの識字クラスが実施され、704 人が新たに識字者になりました。小学校が不足している地域では、寺子屋が日中、小学校の教室として開放されています。

寺子屋の廊下で勉強する子どもたち

女性が平和“大”集会を寺子屋で開催
2010 年10 月23日、カブール市第12 地区の寺子屋で、市内近郊の寺子屋で働く女性教員ら総勢100 名が一堂に集まり、平和“大”集会を開きました。アフガニスタンでの寺子屋活動史上初の試みです。
議長を務めたヌーリスタニ識字局副局長は、「女性は家庭においても社会においても平和を発信する重要な役割を果たします。アフガニスタンの平和構築のために、今こそ女性の力が必要です。寺子屋の学習者のうち7 割は女性。私たちが中心となって平和についての学習を推進していきましょう」と力強く訴えました。アフガニスタンのテレビ局3 社とラジオ局2 社は、この集会の様子を「平和に向け女性たちが踏み出した第一歩」として大きく報じました。

寺子屋の蜂蜜が大人気!


カブール県ファルザ郡ミルアフガン村の寺子屋で実施された養蜂トレーニング。これが大成功し、ミルアフガン村の寺子屋では、訓練を受けたメンバーらが蜂蜜を商品化しました。“寺子屋ブランド”を付けた蜂蜜は、「まろやかでおいしい」と注目を集め、いまやカブール市内でも大人気。ミルアフガン村の人たちにとって安定した収入源となりつつあります。

*実施団体とは? 実際に寺子屋の建設、運営を行う団体。(公社)日本ユネスコ協会連盟が調査し、信頼がおけると判断した現地の団体であることが多いが、同連盟が
現地事務所を構え、国の機関をパートナーにして、実施しているプロジェクトもある。
*寺子屋運営委員とは? 村の長老、教育関係者、識字教室の卒業生などがメンバーとなり、現場のニーズに応じたプログラムを企画し、運営方針を決める。また、自立
して運営するための資金集めなども行う。

第22次支援プロジェクトの計画
“世界寺子屋運動”名古屋実行委員会は、2011年の第22 次支援プロジェクトとして、第21次の3プロジェクトを引き続き支援します。書き損じはがきの回収によって得られた現金や寄付金などから、合わせて450万円(1プロジェクト150万円ずつ)を活用させていただきます。
1990 年3 月から2011年3 月末までにお寄せいただいた書き損じはがきの累計枚数は、3,672,897 枚になりました。ご協力に感謝するとともに、今後も引き続きご支援をお願い申し上げます。なお、未使用の切手・はがき、寄付金なども受け付けております。
“世界寺子屋運動”名古屋実行委員会事務局 名古屋国際センター交流協力課内 D052-581-5691
寄付金の送付先:郵便振替:00890-6-108490
三菱東京UFJ 銀行 名古屋駅前支店 普通 2137777
口座名:“世界寺子屋運動”名古屋実行委員会
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連合愛知から書き損じはがき19,813枚をいただきました
連合愛知(日本労働組合総連合会愛知県連合会)から“世界寺子屋運動”名古屋実行委員会に書き損じはがき19,813 枚(89 万円相当)の寄付をいただきました。
連合愛知からの寄付は今回で21 回目、通算299,925 枚(1,356 万円相当)になりました。
4 月28日に行われた贈呈式において、連合愛知の土肥和則事務局長から名古屋国際センターの豊島事務局長に手渡されました。
ご協力いただいた皆様にお礼を申し上げます。

連合愛知の土肥事務局長(左)とNICの豊島事務局長(右)