2023.08.15
世界には、宗教や思想、文化、健康上やアレルギー等の理由などで食事に制限のある人がいます。現在、日本では外国人住民や訪日外国人が増え、食の対応が求められていますが、食の多様性への配慮はまだ充分ではありません。多様化する社会において、誰もが安心して食事を楽しめる環境づくりに力を入れていく必要があります。
★本特集は3回の連載で記事を投稿していきます。
ハラル、ベジタリアン、ヴィーガン...。食の多様性と聞いてまずこれらの言葉を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
まずはそれぞれどのような特徴があるのかみてみましょう。
ハラル(ハラール) |
アラビア語で「許されている」という意味。イスラム教では、戒律により食べてもよいものといけないものが決まっています。食べてよい食材は「ハラルフード」と呼ばれ、穀物類や野菜、果物、魚介類、卵、乳製品などが該当。一方で、禁じられた食材は「ハラム」と呼び、豚やアルコール類となります。 (参考:株式会社シンクロ・フード 飲食店ドットコム) |
ベジタリアン(菜食主義者) |
動物性食品を避ける食生活を送る人々を指します。ベジタリアンを選ぶ理由は、宗教上の理由のほか、健康への気遣い、動物愛護など人によりさまざま。またベジタリアンには種類があり、動物性食品は一切食べない人のほか、乳製品や卵も食べるラクト・オボ・ベジタリアン、魚介類は食べるペスカタリアンなど、摂取できる食品は人により異なります。 (参照:株式会社シンクロ・フード 飲食店ドットコム) |
ヴィーガン(完全菜食主義者) |
ベジタリアンのなかでも、完全菜食主義者になるのがヴィーガン。動物の肉(鳥肉・魚肉・その他の魚介類)はもちろん、卵や乳製品、蜂蜜など動物性食品を一切口にすることがない人を指します。また食事面だけでなく、毛皮やレザー、ウール製品は身につけない、動物実験された日用品を使わないといった生活スタイルを選択。ベジタリアンは食生活のことを指しますが、ビーガンは食生活を含め、ライフスタイルそのものを表しているのです。 (参照:株式会社シンクロ・フード 飲食店ドットコム) |
◆実際の声を聞いてみましょう!
ウクライナ出身・スウェーデン在住Olhaさん
私がペスカタリアン※になった理由は主に3つあります。
・動物を拷問したくないから。
・ペスカタリアンとして生きることは環境に優しい方法だから。
・肉を食べないほうが健康に感じるから。
私は昔から本をたくさん読んでいて、特に動物の権利(そして人権にも)に常に興味をもっており、人権を考えながら生きていくことの重要性を感じていました。その背景がペスカタリアンとして生きる今の私につながっているのかもしれません。
17歳で肉の摂取を辞めた時、すぐに気分が良くなったのを覚えています。より元気になり、体がとても軽くなりました。15年経った今、私はとても健康で、病気やアレルギーもありません。それに生まれてから一度も病院に行ったことがなく、見た目は実年齢よりも若く見えると思っています。
実は過去に2度、魚の摂取をやめようと試みたことがあります。その間はベジタリアンでした。しかし、肉は一度も恋しいと思ったことはありませんが、魚の場合は難しかったんです。でも、いつかまたベジタリアンになるかもしれないと思っています。なぜなら、海藻が魚の代替品であることに気づいたから。海藻をたくさん食べると、魚をそれほど欲しくなくなると思うんです。
ここスウェーデンでは、ヴィーガンになることさえ非常に簡単なので、私のペスカタリアン主義は全く問題ありません。なぜなら、スウェーデン (およびスカンジナビア全体) では、お店、カフェ、レストランでヴィーガンの選択肢がたくさんあるので、ヴィーガンになるのは簡単です。 私のオフィスでも、誕生日があるたびにヴィーガン用のケーキが別に用意されます。 そしてパーティーに行くたびに、人々は互いに何を食べないのか尋ねます。 個の多様性を尊重し、フードダイバーシティに対応していくことが国の経済と環境の双方に良い影響をもたらすため、政府もそれを支援しているのです。
※ペスカタリアン:魚を食べる菜食主義者。
十代の頃、可愛がっていたウサギが突然いなくなったんです。一緒に住んでいた祖母に聞いたら、「昨日の夕食がそれよ」と返ってきて、私はショックでとても辛かったのを鮮明に覚えています。
実は当時、ベジタリアンの本をたくさん読んでいて、ベジタリアンになりたいと思っていたんです。そんな中でウサギの出来事が起こり、ますますベジタリアンについて興味をもつようになりました。ベジタリアンになった主な理由は、健康のため。実際に肉を食べなくなったら本当に気分が良く、身体が軽くなりました。 でも今はそこまで厳しくはせず、フレキシブルな食生活を送っています。 ベジタリアンの食べ物がないときや誰かが作った新しい料理を試したいときには、時々肉も口にします。 ほとんどの場合、私は肉を食べませんが、1〜2週間に1回程度、魚を食べます。日ごろは果物や野菜、米、パスタ、そばのほか、その他の穀物をたくさん食べることを意識しています。