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「情報」のバリアフリーが解き放つ、「こころ」のバリア 【vol.2】外国人と地域社会を絵本でつなぐ〜ブックスタート〜

2024.04.07

赤ちゃんと、絵本をひらく楽しい体験を―。

bear.jpg「ブックスタート」の活動は、1992年にイギリスで始まりました。これは、赤ちゃんが生まれた家庭に、絵本を楽しむ「体験」と「絵本」をプレントするものです。「NPOブックスタート」(▶リンクはこちら)によるこの活動は、行政と市民が協働し、現在では国内でも6割以上の自治体で採用されています(名古屋市では天白区で実施)。安城市では平成25年からこのブックスタート事業を実施。赤ちゃんの4か月児健康診査のために保健センターを訪れる家族に、絵本をプレゼントしています。

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 3月のとある水曜日の午後。この日は約40名の親子が保健センターを訪れました。この日は、ブラジルやスリランカ出身の家族が訪れ、赤ちゃんと保護者が一緒に絵本に触れる姿が見られました。

 赤ちゃんの健診が終わると、ボランティアがブックスタートの説明を始めます。安城市では、NPOブックスタートの選定図書の中でボランティアが協議のうえ選定した4冊の中から、赤ちゃんが気に入った一冊を選ぶことができます。「自分で持ってみてもいいですか。」スリランカ出身の母親が絵本を手に取り、ページを開きました。この赤ちゃんは、どうやら動物の絵が描かれたカラフルな絵本が気に入ったようです。「では今から読みますね。聞いていてね。」ボランティアがやさしく語りかけ、読み聞かせを始めると、赤ちゃんは絵本をじっと見つめます。父親も母親も、赤ちゃんの様子を見て自然と笑みがこぼれています。不安そうに付き添っていたおばあさんも、孫の様子に興味津々です。

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 日本語の絵本を選び終わると、安城市からさらに素敵なプレゼントが添えられます。それは、新美南吉の多言語絵本です。半田市(当時の半田町)で生まれ、安城高等女学校(現在の県立安城高等学校)で教員生活を送りながら多くの作品を残した、地域ゆかりの児童文学作家である南吉。彼の「ひとつの火」に挿絵を入れて翻訳した絵本が、安城市オリジナルデザインのブックスタートバッグに入れて家族にプレゼントされるのです。この多言語絵本の制作には、「NPO法人ヒッポファミリークラブ」「Anjoyともだち」「あんじょうまざりん」など地域の団体が関わり、市内で需要の多い言語であるポルトガル語、英語、ベトナム語、タガログ語、中国語などに翻訳し、一冊にまとめました。そしてこの翻訳作業に携わったのは、安城市に暮らす外国人ママたち。このプロセスは、外国人市民にとって地域への愛着や郷土愛が生まれるだけでなく、作品としても残ることで、自分たちが地域社会に役立っているという実感や自己肯定感につながります。

 

 ブックスタート事業を担当する安城市アンフォーレ課図書サービス係の鈴木亜依子さんにお話を伺いました。「孤独や不安を感じる外国人のママたちに、少しでも気持ちが和らぐように絵本をプレゼントしたいという思いがあります。またそれ以上に、ちょっと一息つける空間としてこのブックスタートを利用してもらえたらと願っています。イベントを企画してもなかなか子連れでは足を運びづらいですが、赤ちゃんの健診とあれば必ず受けますよね。その機会を利用して、家の中から外へと視野を広げてもらい、社会とのつながりを持ってもらうきっかけとしています。」

 健診会場には絵本や育児書の貸出もあり、母子健康手帳があれば図書館の利用者カードをその場で発行して、早速図書を借りていくこともできます。お子さんが絵本を気に入ったら、図書館の読み聞かせの会をご案内することもあるそうです。「絵本を通して赤ちゃんが笑ってくれる、そこでママも一緒に笑う。それがブックスタートの良いところですね」と鈴木さんは語ります。

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 健診を終えたスリランカ出身の父親は、「皆さんにやさしく声をかけてもらえ、とても助かっています」と感想を述べました。また、通訳を同行して健診を受けたブラジル人の母親は、赤ちゃんの帰り支度をしながら、「この子は私の初めての赤ちゃんです。絵本が大好きなので、もらえて良かった」と話しました。

 一冊の絵本との出会いが、孤独になりがちな外国人住民と社会をつなぎ、世界を広げる。このように、情報のバリアフリーは、絵本がきっかけで始まることもあるようです。

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