2025.07.20
名古屋市職員として働くテチアナ・サムソノバさん。周りから親しみをもって、ニックネームの「ターニャ」で呼ばれる彼女を紹介します。
ターニャさんは、NIC情報カウンターのウクライナ語通訳のほか、「NIC地球市民教室」の講師やNIC外国人防災サポーターを務めるなど、異文化理解や防災啓発に関するNICの事業に携わっています。
今回、多忙な日々の暮らしのなかで、令和6年能登半島地震の復旧・復興に取り組むご自身のボランティア活動についてお話を聞きました。レスキューストックヤード(RSY)1)と日本ウクライナ文化協会(JUCA)2)のボランティアと共に、今年6月に穴水町の避難所に赴き、「ボルシチで交流会」に参加しました。昨年の5月以来、約1年ぶりの訪問でした。
ターニャさんのコメント:
前回来た時より、路面が修復されていたり、がれきが片づいていたり、街の復興が進んでいると感じました。現地の住民の方々との嬉しい再会でしたが、避難所で生活する方がまだいる現実を知って、これからますます暑くなるこの時季がとても心配です。
1)災害時の被災者支援や地域防災・減災啓発活動を行うNPO法人。
1995(平成7)年の阪神淡路大震災をきっかけに、災害経験を風化させないこと、平常時の防災の必要性を訴えることを趣旨に設立。
2)日本とウクライナの両国民の交流や相互理解を促進することを目的に、2018(平成30)年設立。RSYとともにウクライナ避難民の支援活動にも取り組んでいる。
避難所の炊き出しでは、ウクライナの伝統料理を中心にボランティアの皆さんで考えました。
今回は、ボルシチとライ麦パン、そしてレモネード。食材を名古屋から車で運んで、現地で調理しました。すべてウクライナ出身の "お母さんたち"による手づくりで、特に現地で好評だったボルシチは50リットルもある大きな鍋いっぱいに煮込みましたが、 すぐに空っぽになるほど皆さんに喜んでもらえました。
市民ボランティアの活動でターニャさんが思い出すのは、母国ウクライナであった大規模な運動。
すでに紛争下にある2023年6月、ターニャさんの故郷オデーサの近隣にある都市ヘルソンで起きた深刻な水不足に対し、オデーサの多くの住民が車に大量の水を積み込んで、ヘルソンまで届けたそうです。
「物資が十分でない中でも、お互いを助け合おうとする一人ひとりの気持ちが、これまで以上に沸き上がったんだと思います。」と話す ターニャさんのモチベーションは、「いつも、誰かの役に立ちたいという想い」だと教えてくれました。
NICでのターニャさんは、いつも周りのスタッフはじめ相手への思いやりや気心に溢れています。
また、彼女は日本語の勉強にとても熱心で、その習熟の早さに誰もが目を見張ります。
今夏、日本語能力試験(JLPT)のN2レベルにチャレンジするそうで、その準備のため、休日はもっぱら勉強に励んでいるとのこと。「きっと合格できます!」と自信に満ちた言葉がありました。
私たちNICの仲間も、ターニャさんのこれからのますますの活躍や飛躍を期待しています。