2023.10.22
9月23日(土)に「グローバルユースフォーラム」を開催しました。これは、若者たちが社会や地球の課題に対して視野を広げ、グローバルに活躍する最初の一歩を応援するイベントです。
今回は、株式会社マザーハウス代表取締役兼チーフデザイナーで国内外で活躍されている山口絵理子さんをお招きし、前半はご講演、後半のQ&Aセッションで参加者との交流を行いました。
学生時代は途上国の開発支援や援助に関心があり、国際機関でインターンを経験しながら、自分のやりたいこと、目指したいものを探していた山口さん。実際に国際機関で働いてみると、そこで働くスタッフは、誰も現地へ行ったことがなく、途上国支援のために本当に何が必要なのかはわからないままでした。
このままでは何も解決できないと一念発起し、2004年当時、世界の最貧国であったバングラデシュの大学院で学びながら、現地の人々とその言葉で生活しました。天災があっても速やかに援助物資が届かない現実やテロによる外出禁止令を経験するうちに、経済的な国際協力や援助ではない「何か」を探し続けました。
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「私たちは援助を受ける国として有名だけれど、援助ではなく仕事がほしいんだ。」というベンガル人学生の言葉をきっかけに、「みんなが誇れる仕事」を自分事のように悶々と考える日々。そんな時に出会ったのが、バングラデシュが世界的にもその主要生産国として有名な「ジュート(麻)」でした。
「疑問に思ったら、まずはやってみる」、「何より現地(現場)に足を運ぶ」ことを大切にする山口さんは、ジュート工場の劣悪な労働環境や児童労働の実態、バイヤーと搾取される労働者との関係など様々な現状を目の当たりして、自身が目指す信念に至ったのです。
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「かわいそう」だからではなく、「かわいい、かっこいい」を―。
これらは彼女が日記に書き留めた言葉です。
そして「途上国から世界に通用するブランドをつくる」という揺るがない経営理念に辿り着くまでのプロセスを熱く語りました。
挫折や失敗を繰り返しながらも歩み続ける(Keep walking)その姿は、若者たちだけではなく、会場のどの世代の参加者をも魅了するものでした。
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また、「チームビルディングには、多様性が大切である。」、「途上国の人たちと働くには、彼らの働き方や大切にしていることを理解すること。」、「他人の声だけではなく、何より自問自答する時間も大事。」、「人間として誰に共感するか。」等々、山口さんの語りに散りばめられた、グローバルに活躍するために必要なエッセンスは、参加者の誰もの心に響くものでした。
【参加者の声から】
・自分自身が肌で感じた経験が、生きる軸になることがわかった。私も、失敗を恐れず挑戦していきたいと思えた。
・現地の人とコミュニケーションをとり、国について理解をしてみることが大切だと分かった。大学の講義を聞くだけではその国のことを分かった「気になっている」だけなので、やはり海外に行ってみて自分の目で見てみたいと思った。
・現在学生団体で代表をしている中で、社会貢献性とビジネスとしての堅実さの両立には常に頭を悩ませています。その中で、私が何を大切に代表をしたいのか。何のためにこの組織にいるのか。すごく見えたような気がしました。