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外国人児童・生徒、そして支援者のためのウェルビーイング ~R5年度「外国人児童・生徒サポーター研修【実践編】」を実施しました~

2024.01.28

外国ルーツの子どもたちを学校現場や地域で支え、日本語指導や学習支援にあたる支援者は大変重要な人的リソースであり、子どもたちを育む地域の財産です。教員や語学指導員、スクールカウンセラーや地域日本語教室のボランティア...関わり方はそれぞれ異なりますが、子どもたちの未来につながる幸せ(ウェルビーイング)を心から願う気持ちは、みな同じだと言えるでしょう。

 支援者たちが、それぞれの現場で直面している悩みや課題を共有し、よりよい支援の在り方について実践的に学び考える「外国人児童・生徒サポーター研修【実践編】」を、1223日(土)に名古屋国際センターで実施しました。

 令和5年度は「心理学的アプローチから学ぶ!外国人児童・生徒のウェルビーイング」と題し、心理学の専門家と支援の実践者の方々をお招きしました。当日は定員を超える46名の参加者が、外国人児童・生徒の心理面を学術的に理解するだけでなく、支援者としての自分自身のウェルビーイングについても考えました。

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第一部 基調講演

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 外国ルーツの子ども達のウェルビーイングの研究者である名古屋大学名誉教授の松本真理子さんは、外国人児童・生徒の日本語習得レベルと幸福度の関係性をデータで示しました。その結果、「日本語能力が高い児童・生徒でも、外国ルーツの子ども達は日本人に比べて普段から学校生活に不安を感じたり、他児童との摩擦を感じたりしている」という傾向が見られました。だからこそ、学校現場において教師介入が必要であることや、チーム支援の重要性を松本さんは強調し、「支援は必ずチームで行うこと。そして支援者のバーンアウト(燃え尽き)を予防するためにも、支援を一人で抱え込まず、効果を焦らないこと」と支援者自身のウェルビーイングについても触れました。

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2 ninomiya.JPG また、人間環境大学心理学部講師の二宮有輝さんは、外国人児童・生徒のこころのケアのために有効な声がけの仕方や話の聴き方など、具体例を挙げながら紹介しました。例えば、「どうして宿題してこなかったの?」ではなく、「宿題してこなかったのはどうしてかな?」と、「なぜ」「どうして」の部分を後ろにもってくるだけで柔らかく聞こえるという実践的なテクニックを聞いた会場の参加者達は、「なるほど」と深くうなずいていました。二宮さんは、「日本人は察して理解する文化。このコミュニケーションのくせを理解したうえで、否定せずに子どもの話を聞き、十を聞いて一を理解する態度が大切」と話しました。そして、日常的にその子の「推し」を理解しようという気持ちや、趣味の話をできる土台づくりなど子どもと接する際のヒントを示しました。

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第二部 パネルトーク

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 午後からは、実践者である2名のパネリストをお迎えしました。

 幼少期に家族の都合で日本とブラジルの学校を行き来した峰松ハルミさんは、友達と馴染めず、つらい時期を経験しました。学校の取り出し授業の先生、美術部の先生、通訳さんや地域の人々等、声をかけてくれた「大人たち」に支えられて苦難を乗り越えることができたそうです。

 現在は公立小学校の支援学級の補助員として活躍する峰松さん。今度は自分自身が支援者側に立ち、日々悩みながらも子ども達に向き合う様子を伝えました。

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犬山市内で子どもたちの「第三の居場所づくり」をすすめるNPO法人シェイク・ハンズの松本里美さんは、日本語指導や学習支援の活動のほか、コミュニティ農園を運営しています。誰もが自主的に取り組める仕組みづくりや、外国人住民や企業の力を借りて地域で子ども達を育む様子について語りました。場面緘黙(かんもく)だった少女が、子ども食堂では生き生きと動けること、控えめなフィリピンの男の子が、実は畑の畝を作るのがとても上手だったこと...。子ども達が目を輝かせた瞬間を逃さず居場所を提供し、情緒を安定させ、生活面を充実させていく。それがウェルビーイング、ひいては学習意欲につながっていった実例を紹介しました。

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第三部 ワークショップ

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 第一部で講演をいただいた二宮さんがファシリテーターを務め、保護者や子どもへの対応、ボランティア間の価値観のずれ、支援者自身のウェルビーイングについて等、事前に参加者から集めた課題について自分の関心の高いテーマを選び、多様な価値観を共有しました。参加者達は、これからの活動のヒントになるような新たな気付きを得ることができたようです。

 ワークショップの最後に松本真理子さんは、「いずれも一人ではとても抱えきれない問題を扱いつつ日々サポートされていることを痛感した。つながりを持ち、共有しながらチームで子ども達をサポートしていただきたい。」と参加者にエールを送りました。

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研修を終えて...

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 修了生からは、「突破口が見えるようなヒントの話がたくさん聞けた」「仲間がたくさんいるなと安心した」「"十を聞いて一を知る"という言葉が刺さりました」という意見が寄せられました。また、「児童・生徒のことばかり考え、自分自身のことを考える時間を持ってこなかったことに気づいた」という声もあり、「自身のウェルビーイング」についても改めて考える機会となった、実りの多い1日となりました。

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