2025.03.02
2025年1月8日(水)~10日(金)に、名古屋市観光文化交流局国際交流課職員とともに、韓国へ多文化共生施策の視察に行ってきました。 昨年10月に韓国の京畿道にある安山市長をはじめ職員の方々が、名古屋国際センターに訪問されたことから、今回の視察につながりました。安山市は、外国人住民に対し、先進的な取組みをしています。
【訪問先】
1月8日(水)
・一般財団法人自治体国際化協会(以下、CLAIR)ソウル事務所
1月9日(木)
・安山市多文化特区村
・安山市外国人住民支援本部
(外国人住民相談センター、多文化移住民プラスセンター、多文化小さな図書館、世界文化体験館)
・安山市グローバル多文化センター(多文化家族支援センター、グローバル青少年センター)
1月10日(金)
・ソウル特別市龍山区にある二村グローバルビレッジセンター
韓国の現状~人口減少と移民の受入れ~
※CLAIRソウル事務所の職員の方から、韓国の現状について伺いました。それをもとに、記事を作成しています。
韓国の人口は、約5,000万人(2023年10月時点)で、年々減少しています。合計特殊出生率は0.72(2023年)と低く、少子高齢化が急激に進んでいます。一方、人々がより良い教育・雇用を求め、首都圏(ソウル特別市、仁川広域市、京幾道)に移動するため、首都圏の人口は増加しており(全人口の約半数が首都圏)、人口の一極集中が止まらない状況になっています。その影響を強く受けているのが地方都市です。地方都市では、住民の高齢化が進み、働き手がいない状況に陥っています。韓国政府は、全自治体の4割(89自治体)を「人口減少地域」に指定しています。
韓国では、低賃金で好まれない業種や地方都市の労働者不足を補うため、外国人労働者を受け入れています。外国人労働者を受け入れ始めたのは1980年代ですが、外国人人口が2006年以降に劇的に増えました。受入れ当初、日本の技能実習制度をモデルとした「産業技術研修制度」を導入していました。悪質な仲介業者や、労働者として法的な保護がなく、賃金の未払いや研修生の失踪が相次ぎ、社会問題となりました。2004年から「雇用許可制度」が導入され、政府が外国人労働者数の受入数、業種、送り出し国等を管理し、毎年調整しています。また、外国人労働者も韓国人と同様の待遇、労働保険、雇用保険、国民年金、健康保険、最低賃金、労働三権などを適用されています。
現在、外国人労働者の在留制度として、「雇用許可制度」のほかに、農業・漁業の農繁期に短期間外国人労働者を受け入れる「季節労働者」、人口減少地域(消滅可能自治体)の労働者不足を解消するための「地域特化型ビザ」などがあります。
外国人人口が増えた理由として、結婚移民者が増えたことも挙げられます。韓国では、1990年代まで産児制限をしており男児が好まれたこと、女性の社会進出に伴い都市部に行く女性が増えたことで、地方都市、特に農村地域では"嫁不足"が発生したことも挙げられます。
韓国の外国人人口は約264万人(2024年11月)で、今後5年以内に300万人になると予測されています。外国人住民の出身国は、中国、ベトナム、タイ、アメリカ、ウズベキスタンです。中国とウズベキスタン出身者は、そのほとんどが外国籍同胞です。外国人の韓国社会への適応、社会統合をめざし、2007年に外国人施策の基本法とされる「在韓外国人処遇基本法」が制定されました。2024年10月には、外国人を受け入れる新しい制度として「新出入国・移民施策」の推進法案を発表しました。
【参考】
・一般財団法人自治体国際化協会「CLAIR REPORT 第550号」
https://www.clair.or.jp/j/forum/pub/docs/550.pdf
・JETRO 「ビジネス短信」
https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/10/35e5f72ba9ed125a.html