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2025.04.19
食を通して世界を知り、親子で体験できるイベント「『世界のいただきます』を作ってみよう!」。3月15日に開催した今回は、「番外編~チョコレートができるまで~」と題し、チョコレートができあがる工程やチョコレートにまつわる世界の課題について考えました。当日は、15組34名の方々にご参加いただきました。
イベント開始前に皆さんに無添加のカカオティーが配られ、その甘い香りに包まれる会場で、講師の渡邉千晃(わたなべ ちあき)さんによるお話が始まりました。渡邉さんは、名古屋市西区でBean to Bar チョコレート専門店「choco rico」(チョコリコ)を、代表でショコラティエの由利子さんとご夫婦で営まれています。
※Bean to Barとは、原材料のカカオ豆(Bean)からチョコレート(Bar)を一貫してひとつの工房で製造する方法のこと。
まずは、チョコレートに関する豆知識、「カカオ豆ってなに?」や「カカオの学名『テオブロマ』の意味は?」などのクイズ問題から。チョコレート好きの皆さんが集まったイベントとはいえ、正答率は講師も驚きのほぼ100%。チョコレートの歴史のほか、市販チョコレートの原材料やカカオ含有量についても、たくさんの写真を交えた解説もありました。また、実際のカカオの実に触れたり、チョコレートとはほど遠い発酵したカカオ豆の臭いに顔をしかめたり。choco ricoが提供するチョコレートは、カカオとパームシュガーのみを原材料として使用しています。カカオニブやカカオ含有量の異なるチョコレートの試食体験もあり、余分なものを含まないチョコレートの美味しさに参加者の驚きもひとしおでした。
一方で、カカオ豆の生産過程にまつわる児童労働や環境破壊など、地球規模の課題に話題は及びました。渡邉さんは「児童労働はダメ!と言うだけではなく、子どもたちが働かないとならない社会的背景にも目を向けてほしい」と話します。親を助けたり、兄弟姉妹を学校に通わせるために、一生懸命に働いている子どもたちの存在を挙げ、「児童労働の廃絶を訴えるのではなく、彼らが労働に従事しなくてもよい環境を整えることが大切」と説きます。
「チョコレートでみんなを笑顔に。カカオで世界を幸せに。」choco ricoが掲げるスローガンは、「カンボジアの地雷被害者や貧困層の社会的・経済的自立を支援し、子どもたちが『普通に』学校へ通える環境を創造したい」という企業理念です。チョコレートづくりを始めるきっかけであり、その手段がチョコレートだったのです。渡邉さんたちは現在、カンボジアに直営のカカオ農園をつくり、現地での雇用を生み出しています。
最後に、「想像力をもって自ら正しい選択をできるようにしてほしい。そのためには情報リテラシーを高めることが大切」とし、「買い物ひとつで、世界の平和に貢献できる」と話しました。渡邉さんの軽快で、ユーモアをたっぷり交えたお話で、楽しみながら学びを得られる貴重な機会となりました。
お話の後は、各テーブルで感想・意見をまとめて、それぞれ発表頂きました。
「フェアトレードについてもう少し深く考えてみようと思った。」という意見もあり、消費者側が買い物を見直すことでできる国際協力への理解も深まったようでした。
「参加者の皆さんがチョコレートを通して国際問題について考えるきっかけづくりができたことはとても嬉しい」と渡邉さんも仰られていました。
(↓頂いた感想の一部抜粋↓)
「チョコレートのことだけでなく途上国のことも分かり大変勉強になった」
「チョコレートが美味しかった!」「難しかった。」
「普段聞けないことや本では分からないことが聞けて勉強になったし楽しかった」
「これから消費者として何か手助けになれることはあるか?考える機会になりました」
「農家の事情や環境を知り、もっと私たちにできることはないのか?考えさせられる事が多く学びが多かった。」
「カンボジアの子を救いたいと思った」