2024.09.19
台風、豪雨、豪雪、洪水、土砂災害、地震、津波、火山噴火など、災害を受けやすい日本。
ここで暮らす私たちは、災害と共存するために、日常的に防災知識を身に付けつけ、「防災力」を高めることが求められています。
現在、日本に暮らす外国人が過去最高となり、その数はまずます増加しています。災害は、国籍を問わず、被害をもたらします。災害時には、平時には見えてこなかった問題が、表面化します。普段、関わりがなかった人たち、言語や文化、習慣が異なる人たちが、避難所でともに過ごす、復旧にむけてともに行動することになります。そのため、外国人の視点も取り入れた防災啓発が、地域で求められています。
★本特集はVol.1~2の連載で記事を投稿していきます。
今回は、NICの「防災サポーター」による座談会を開き、彼ら外国人の視点で防災意識や啓発の取り組みについてざっくばらんに話し合いました。本記事では、話し合いの内容と共に、今後の防災への取り組みの可能性を探っていきます。
「防災サポーター」とは・・・・
平時に防災啓発を行い、地域のイベント参加や外国人住民に母語で防災啓発を行う役割を担っています。また、災害時には外国人が直面する状況を日本人側に伝える役目も果たします。現在、9名のサポーターが活動しています。今回は、こちらの4名のサポーターが意見を交換しました。
▲左から朴さん、ポウデルさん、ターニャさん、朱さん
防災よりもまず・・・
【朴さん】
防災サポーターとして、何度か地域の防災訓練に参加しました。学生や自治会の方など、受付をする方が、外国人が来たときに何をすればいいのか困った顔をしていたのを覚えています。防災訓練では、このような体験をすることで、どんな準備をしなければいけないのかを知ってもらえてよかったと思います。しかし、同時に、「外国人も避難所に行く/来る」という考え、発想がそもそもあるのかなという疑問も湧きました。
【ポウデルさん】
今、外国人が増えています、外国人でも、外国人同士だけ、同じ国出身者だけで生活している人もいます。また、日本人も日本人同士だけで生活している人が多いですよね。お互いにあまり関わっていないのに、避難所に行って一緒に生活できるのか...。災害が起きて、避難所で協力しながら生活をすることにハードルを感じ、ポジティブなイメージがあまり持てません・・・。
【朱さん】
普段から日本人と外国人とのふれあいや交流が希薄なので、避難所で一緒になって、協働って言われても難しいです・・・。
【朴さん】
普段から互いに知り合う機会を持ち、いざとなったときに避難所に行ったら、「●●さん!」と声を掛け合えるようになると安心にもつながり、協力しやすくなりますよね。防災訓練だけではなく、地域のイベントや外国人も参加しやすい案内にしてほしいです。「外国人の参加可能」って書いてあると、参加しやすいと思います!
実際に、愛知県外国人県民調査報告書によると、地域活動参加状況において「地域の活動には参加していない」が半数を超えています。
引用:愛知県外国人県民調査報告書
外国人=助けなきゃいけない人たちではない
【朴さん】
「外国人」っていうことだけで、「助けないといけない人」みたいなイメージがあるのではないかと思います。いろいろとケアをしないといけない人みたいな・・・。また、日本語ができないだろうし、コミュニケーションが取れるかどうか不安だから、後々面倒くさいことになるんだと思われている気がするんです。
【ターニャさん】
外国人は、言語や文化も違う中、日本で何とか暮らしてきたので、我慢強さや適応力など、さまざまな面で"生き抜く力"があると思います!
【朴さん】
外国人って、日本人に比べて若い層が多いのではないだろうか。体力はあると思うので、高齢の方と一緒に避難したり、避難所でのゴミ出しや炊き出し、高齢者の方への配膳などもできると思います!
(参考)令和 5 年名古屋市外国人住民統計(3ページ目に世代別住民数が記載されています)
【ポウデルさん】
実際に、私たちも避難所でサポート/協力したいだけど、何をしたらいいか、誰に聞いたらいいかわからないんです。また、朴さんが言ったように"日本語ができない"と思われているから、日本語ができる人がいると伝えたいです。指示を出す人も、指示を出される人も避難所の活動に慣れていない中で、どんなことを、どんな順序でするのかも含めて、訓練ができるといいなと思います。
【朱さん】
外国人っていうだけで、出番が少ない...もっと私たちを頼ってほしい!
【朴さん】
私たち防災サポーターが、日本人のキーパーソンにアプローチするのもありだと思います。自治会長などが集まる会議に、外国人が困ること、できること、地域活動に参加したいことなどを伝えるというのも大切だと。その機会に、やさしい日本語を伝えてもいいのではないだろうか。防災サポーターと顔見知りになることで、私たちをきっかけに、国籍問わす住民が知り合えればいいのではないかと思います!
▲座談会の様子
★次回は、「今後の防災啓発方法」について意見交換した内容の記事を掲載します。お楽しみに!