2024.09.10
9月1日は「防災の日」。毎年、8月30日から9月5日は「防災週間」です。今年1月に能登半島地震が発生し、8月には南海トラフ地震の臨時情報が初めて発表されたこともあり、例年にも増して、災害への備えを見直した方も多いのではないでしょうか。
名古屋国際センター(NIC)は、毎年の防災週間に名古屋市の各区で実施される「なごや市民総ぐるみ防災訓練」に、外国人参加者と災害語学ボランティア(※)とともに参加しています。今年は重点区の一つである中区の訓練に参加し、災害時用トイレの実演や避難所での健康管理、ペット同行避難等のブース見学や、起震車での地震体験等を行い、参加者に災害時の行動や災害への備えについて学ぶ予定でした。例年の倍を超える約30名の外国人から参加申込があり、防災意識の高まりを感じさせるところでしたが、台風10号の接近により、残念ながら訓練自体が中止となり、参加予定だった外国人からは「防災について学ぶ貴重な機会だったので残念」や「今後このような防災訓練があれば案内がほしい」といった中止を惜しむ声が聞かれました。
また、9月6日には、令和6年度「第2回災害語学ボランティア研修(ステップアップ編)」を実施し、英語、スペイン語、ポルトガル語、ドイツ語等に登録する災害語学ボランティアとNIC外国人防災サポーターの計13名の参加がありました。この研修は毎年度4回実施しているもので、今回は、災害語学ボランティアの役割や通訳時の心得について学んだあと、グループに分かれ、避難所での聞き取り訓練を行いました。災害語学ボランティアは、外国人被災者役と区役所職員役の間に入り、外国人被災者の困りごとや区役所職員から提供される情報について、それぞれの登録言語または「やさしい日本語」で通訳を行いました。外国人被災者役を務めた陳大莉さん(中国出身)は、「出身地では地震がないので、まず避難所がどんな場所かイメージがわからない」と話し、鴨井イルマルシアさん(コロンビア出身)は、「地震は本当に怖い。訓練が大事」と感想を述べました。災害語学ボランティアからは、「初めて研修に参加したが、自分の想定にはないニーズが出てきて、大変勉強になった」、「自分の登録言語が必ずしも活かせるとは限らない。『やさしい日本語』も活用していきたい」という感想や、「避難所のルール等について知らない外国人もいると思う。困りごとを聞く前に、避難所についての基本的な情報提供が必要ではないか」といった意見も聞かれました。
「日頃できないことは、災害時にはできない。」
「平時のつながりが非常時に活きる。」
-能登半島地震後に現地で外国人支援活動を経験した方の言葉です。
約9万6千人の外国人が暮らす名古屋。有事に備えて、日ごろからの一人ひとりの防災意識と地域の人たちのつながりが大切ではないでしょうか。NICはこれからも外国人への防災啓発や災害語学ボランティアの養成等に取り組んでいきます。
※災害語学ボランティア(募集中)とは...
地震等の大規模な災害時に、日本語の理解が十分でなく、必要不可欠な情報を得ることが困難な外国人を支援するため、区役所や避難所での通訳・翻訳、情報収集・提供等の活動を行います。
平常時には、外国人を対象とした防災啓発活動・訓練等での通訳などを行います。また、NICが実施する研修会等にも積極的にご参加いただきます。