2024.12.17
11月17日(日)にNIC高校生日本語教室キャリア支援プログラム「ライフプランを考えよう!」を開催しました。このプログラムは、NIC高校生日本語教室の学習者を中心に、キャリア形成について考える機会を提供することを目的に実施しています。
講師は、Próxima代表の山田伶南さん。山田さんは、日本とブラジルの2か国にルーツを持っています。当センターのNIC地球市民教室の講師としても、学校等で母国の文化を紹介しています。また、法律事務所でポルトガル語通訳としても活動するなど、自身のルーツを強みにして活躍中です。前半は山田さんの半生の紹介から始まりました。
日本で生まれた山田さんは、幼少期に「外国人」、「国に帰れ」と言われるなどのいじめを受けました。日本で生まれたのになぜ自分は外国人なんだろう、日本人になりたいと思った山田さんは、アイデンティティクライシスを経験します。それでも、自分をいじめた人を見返すためにも、日本語の勉強に打ち込む中、様々なトラブルが起こり、悲観的になります。
その後、日本の高校を中退し、ブラジルに移住しますが、様々なカルチャーショックを受けながらも、自分自身がブラジルにルーツを持つことを改めて実感し、それを強みとして捉えることができるようになりました。こうした経験を活かし、日本に帰国して高卒認定試験合格後、大学に入学、コーチングの講師をするなど自身の強みを活かし活躍中です。
キャリア支援プログラムの後半は、「未来から現在まで逆算できるロードマップワーク」に参加者が取り組みました。このロードマップは、現在の状況、1年後、5年後、15年後などの目標ややりたいことを書き出し、その目標をカテゴリー別に分けて整理をして、自身の将来について考えるものです。
グループに分かれた参加者は、別の参加者や当センターの語学ボランティアと話し合いながら、様々な目標を書き出しました。参加者が書いた目標は、「日本語能力試験に合格する」「大学に行きたい」「小児科医になりたい」「声優になりたい」「安定した仕事に就きたい」「家族で幸せになりたい」「結婚して子どもを3人持つ」「猫を飼いたい」など様々でした。
ロードマップの最後には、書き出した目標を全員が張り出し共有ました。他の参加者が書いた目標を見て参考にしたり、それをきっかけに普段はあまり話すことがなかった参加者とコミュニケーションをとったりする姿が見受けられました。
講師の山田さんは、「夢を見るのは無料!好きなだけみていい」「自分の好きなことを諦めなくていい」「2つのルーツがあれば可能性は2倍」など、自身の経験から生まれたアドバイスを参加者に呼びかけて、プログラムは終了しました。
参加者からは、「人生の目標が持てたのでとても楽しめた」「将来成功するためには、一生懸命勉強したり、働くことが必要だとわかった」「自分が将来何をしたいのかがわかったし、自分の夢は苦労しても実現できることを学んだ」などの感想が寄せられました。参加者にとって、今回のプログラムが自身の将来や目標を考えるきっかけとなり、また、山田さんのように複数の国をルーツに持つ先輩が活躍する姿が大きな刺激になったようです。
当センターでは、今後も高校生日本語教室の学習者向けにキャリア支援プログラムを実施していく予定です。