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【Vol.2】住民として安定した生活が送れるように~韓国の多文化共生施策 視察報告~

2025.03.02

Vol.1】はこちらから

 

インターカルチュラル・シティ、安山市

 安山市は、ソウル中心部から地下鉄で1時間45分のところにあります(地下鉄4号線「安山」)。人口が約72万人です。外国人住民は、202411月現在、118か国99,747万人で、人口の13.7%です。国籍別では中国が、在留資格別では外国籍同胞が一番多くなっています。産業団地が2か所あることと、ソウルへ地下鉄で行ける利便性があり、外国人住民が多く住んでいます。

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<安山市多文化特区村>

 多文化特区村は駅を出てすぐのところにあり、さまざまな言葉で書かれたた看板がすぐに目に入ります。多文化特区村がある元谷洞地域は、住民の84%が外国出身者です。道路交通法の特例で、365日、歩行者天国となっています。

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駅舎を出て、すぐに見える風景

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多文化特区村にある銀行

 

 週末には、安山市在住者だけではなく、安山市の近隣で働く外国人住民が、母国の味を求めてきます。街を歩いていると、中国料理、ウズベキスタン料理、インドネシア料理の飲食店が目立っており、49か国、140以上の飲食店があるそうです。この特区の飲食店は、海外から調理師を呼ぶ際の手続きが、特例で簡素化されています。年間の売り上げは2,812億ウォンで、そのうち45%が週末の売り上げです。安山市の担当者は、外国人住民が地域経済にとても寄与していると話していました。(私たちが訪問したときは、平日の昼間で、顔が凍りそうなほどとても寒い日だったため、少し閑散としていました。機会があれば、週末に再度行ってみたいです)

 街の中央には公園があり、さまざまな国の交流イベントが開催されます。公園すぐ横には、「多文化警察安全センター」があります。外国人住民も参加する特別巡査体も配置し、パトロールをしています。

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<安山市の多文化共生政策>

 安山市は韓国初の外国人支援専門組織や施設を設置した自治体です。外国人の権利と利益を保護するとともに、韓国生活に定着できるよう教育等の支援をしています。2012年には、全国多文化都市協議会の創立を主導し、初代会長を担った。ヨーロッパ評議会のインターカルチュラル・シティに、2020年に指定されました。

 外国人施策と事業を担っているのが、外国人住民支援本部です。安山市は、韓国初で外国人人権条例を制定しています。外国人住民の人権保護は、重要な施策の一つです。外国人住民緊急支援事業として、経済的に困窮している外国人住民に緊急医療費、生計費等を支援しています。外国人住民支援本部の建物の3階に無料診療所があり、安山市が運営しています。また、外国人住民が参加する委員会が5つあり、そのうち、外国人住民協議会と外国人住民モニター団は外国人住民だけで構成されています。外国人住民の声を聞き、市政に活かすとともに、必要な市政情報を伝える場となっています。

人権映画祭(毎年開催)、国別のコミュニティイベントへの支援や内外国人が一緒に参加できる運動会や合唱などのプログラム運営を通して、住民の相互理解や交流、多様性に対する意識の醸成を促しています。

<外国人住民を支える施設①~外国人住民支援本部~>

 安山市には、多文化共生関連の施設が3つあります。外国人住民支援本部、安山市グローバル多文化センター、高麗人文化センターです。

※今回は、時間の都合上、高麗人文化センターは訪問できませんでした。

 多文化特区村にある外国人住民支援本部には、さまざまな機関が入っており、共に運営をしています。建物は4階建てで、1階には「外国人住民相談支援センター」と「多文化移住民プラスセンター」があります。「外国人住民相談支援センター」は、社会福祉法人カンムルが事業を受託して運営しています。主な相談は、雇用、賃金未払い、年金、医療費などで、月3,000件ほどの相談があります。ときには、公認労務士(日本の社会保険労務士)や弁護士とつなぎ、通訳を外国人住民支援センターが担うこともあります。14言語、10人で対応しており、労働者からの相談も多いことから日曜日も開いています。安山市の支援センターではありますが、安山市外からも外国人住民が相談に来ます。「社会福祉施設であるので、相談を断ることはない。誰にでもやさしく対応している」とセンター長は話していました。

 「多文化移住民プラスセンター」は、国の相談機関です。安山市が国に要請をし、法務部(日本の出入国管理庁)と労働部(日本の厚生労働省)が運営をしています。訪問した日は平日でしたが、センター内にはたくさんの人が、手続き等の順番を待っていました。在留資格の延長、事業所申請・変更等の手続きができます。

 国と地方自治体の機関が同じ建物内にあるので、連携し外国人住民に対応しています。プラスセンターは対応言語が少ないため、相談支援センターが通訳を担当することもあります。また、相談内容によっては相談者を相談支援センターがプラスセンターにつなぐこともあります。

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 支援本部には、その他に"住民たちが集う場"としての「多文化小さな図書館」(受託者:漢陽大学)や世界各国の紹介アイテム(楽器や民族衣装など)が展示されている世界文化体験館などがあります。

  

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<外国人住民を支える施設②~安山市グローバル多文化センター>

多文化特区村から車で10分ほど行ったところに、安山市グローバル多文化センターがあります。ここには、安山市多文化家族支援センター(運営者:社会福祉法人安山市YWCA)と安山市グローバル青少年センター(運営者:漢陽大学)が、結婚移住者、国際結婚や移住民の家庭、そして子どもたちの支援を行っています。

多文化家族支援センターが最も大切としていることは、多文化福祉サービス(韓国語教育および文化の学習)を通して、生活定着を支援することです。そのため、通訳の派遣や訪問による韓国語教育サービス、子どもへの基礎学習支援などを行っています。結婚移住者への就労支援として、製菓技能者、バリスタなどの養成プログラムを行い、就労につなげています。さまざまな事業の中でも、とても興味深いのが「多文化家族サポーターズ」の運営です。これは、支援を受けてきた結婚移住者が、新規の結婚移住者を支援し、困りごとに応じて各サービスにつなげるものです。事業開始当初は、サポーターがおらず運営が難しかったそうです。しかし、現在は支援を受けてきた人が、今度は自分が他の人を支えたいと、サポーター(ボランティア)に志願する人が増えてきているそうです。

IMG_4857.jpgのサムネイル画像「CHILD」の文字でデザインされたベンチ

 グローバル青少年センターは、韓国初、在留資格に関係なく青少年を支援する機関です。法的には、対象は9~24歳だが、現在は0歳児も対象としています。多文化家族(韓国人との国際結婚家庭)、外国籍同胞の子どもが多くを占めています。子どもたちを対象に就学に備えた言語支援をしており、受講した子どもの8割ほどが学校に戻っていきます。学校に通うのが難しい子どもを対象に委託教育学校(代替学校)があり、学校に戻った際、ここで取得した単位が認定されます。また、子どもたちの社会適応を目指したプログラムも行われています。例えば、子どもたちによる生徒自治活動。校内のイベント等は、子どもたちが企画し、実施をしています。また、児童虐待防止の街頭キャンペーンなど校外活動(社会活動)も、自治活動の一つであり、子どもたちが地域や大学等と連携しながら行っています。そのほかに、進路相談やキャリアコンサルティング、企業協賛や社会福祉助成等を活用し生活困窮家庭への教育かかる経済的な支援をしています。

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1階にカフェがあり、バリスタ養成プログラムなどが行われています。

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韓国語等の授業スケジュール

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