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【Vol.3】フードダイバーシティ(食の多様性) ~港西保育園に聞いた、ハラル給食の取り組み~

2023.09.09

 世界には、宗教や思想、文化、健康上やアレルギー等の理由などで食事に制限のある人がいます。現在、日本では在日外国人や訪日外国人が増え、食の対応が求められていますが、食の多様性への配慮はまだ充分ではありません。多様化する社会において、誰もが不自由なく食事を楽しめる環境づくりに力を入れていく必要があります。

★本特集は3回(Vol.1~3)の連載で記事を投稿していきます。

今回の記事(Vol.3)は、名古屋市港区にある港西保育園にハラル給食の取り組みについて話を伺いました!

Vol.1)ベジタリアン、ぺスカタリンに聞いた彼らの食生活とは!? の記事はこちらから

Vol.2)ムスリム(イスラム教徒)の食生活事情とは!?の記事はこちらから

外観 港西保育園 .jpg

名古屋市港区にある港西保育園には、約14名のムスリム(イスラム教徒)の子どもたちがいます。

彼らに安心して美味しく給食を食べてもらえるよう、ハラル対応に取り組む港西保育園様にお話を伺いました!


港西保育園 給食室 田原さん(調理員)

 

私たち給食担当の3人で調理をしています。ムスリムの保護者やウェブサイトから日々情報を収集し、ハラル対応に取り組んでいます。ハラルフード専用のレシピがあるわけでなく、「今日は豚肉抜きです。代わりにツナ缶を使います。」などと声を掛け合い、その都度献立から彼らが食べられないものを抜いたり、代用品で対応したりしています。日本で馴染みのある調味料はほぼ使用できません。醤油や味噌、みりん等は発酵過程でアルコールが自然につくられ、マヨネーズやケチャップ等は原料である醸造酢にアルコールが含まれているためです。また、おやつを作る時は、ショートニング(主にパンやお菓子などに使われる食用油脂)の使用も避けています。日本のショートニングは植物性のものもありますが、ムスリムの方にとっては、豚の油から作られているというイメージが強いようです。

↓港西保育園のハラル対応 取り組み(一例)

【チラシ】高校生キャリア支援プログラムのコピー (1).png

①掲載ハラル給食.jpg

②掲載ハラル給食.jpg

③掲載ハラル給食.jpg

宗教食以外にも、その国に馴染みのある味を知り、美味しく食べられるよう工夫しています。例えば、醤油で味付けしたものは、たとえハラル醤油を使用したものであっても、食べ慣れない事もあり食が進まない事もあります。塩味に変えてみると、結構食べてくれることがわかり、食べやすい味付けを工夫するようにしています。

 子ども達の給食時の様子を見ていると、ムスリムの子どもは、食べてはいけないものも自分たちでしっかり把握しています。また、日本人の子どもも外国人の子どもも、お互いを理解しているんだろうなと感じます。食事でケンカや争いが起こることはありません。

「今日はこんなものを食べたよ!美味しかった!」と子どもがお家の人に伝え、お家の人から担任に報告があり、担任の先生を通じて私たちに子どもたちの声が寄せられると、とても嬉しいです。また、給食を美味しそうに食べる子どもたちの表情を見ると、とても喜びを感じます。 ハラル対応を熟知しているわけではありませんが、これからも〝できる限りのことをしていきたい″という姿勢を大切にしたいと思います。


港西保育園 園長 石垣先生

相談相手がいるからこそ・・・

ハラル対応をする上で大切にしていることは、保護者とのコミュニケーションです。

私たちがわからない事は保護者の方から教えてもらったり、保護者の方が不安に思う事は相談してくださったりとお互いにコミュニケーションを取りながら共に考える事でハラル対応ができています。言語の壁があるので意思疎通が難しい時もありますが、そういう時は翻訳機を使って会話をしています。また、宗教食だけでなく、食文化の違いも日々、彼らから学んでいます。例えば、「今日○○ちゃんがライスを食べなかったけどどうしてだろう?」と保護者へ聞くと、「そういえば母国ではライスに砂糖をつけて食べることがあったわ。」など、食文化の理解につながることも多々あります。

日本の食事では、食べ慣れない食材や味付けで、子ども達もはじめは抵抗を感じたりすることもあります。そんな不安な気持ちや思いを十分に聴き受け止めながら、食事が楽しい時間となるよう様々な工夫を重ねていきたいと思っています。その為にも保護者の方とのコミュニケーションを深めながらお互いの考えや思いを理解し、子ども達が食事も含め、毎日を心地よく過ごせるよう努めていきたいと思います。

「安心」へとつながる「異文化理解」

保護者が園での子どもたちの様子を見学できる「クラス懇談会」が、1年に2回あります。そこでは、給食室の担当が今日の給食を紹介します。「今日の煮魚はみりん、醤油で味付けしています。宗教食はみりんなしでハラル処理で煮ています。」など、日本食と宗教食を紹介しています。日本人の保護者にも知ってもらう良い機会となり、ムスリムの保護者への安心へとつながっています。

港西保育園に就任し、宗教は生活のあらゆる面でつながっていることを知り、異文化を理解する重要性を感じました。実際に入園の際に「ハラル給食に対応しているんですよね!」と、既に情報をもって入園希望される方もいらっしゃいます。私たちの取り組みがどこかで広まっているのかもしれません。特に当保育園はムスリムの方が多いので、これからも日々さまざまな情報をキャッチしながら、ハラル対応に取り組むと共に、様々な文化を知り、理解を深められるようにしていきたいと思っています。

 

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