2025.03.26
名古屋市における外国人人口は増加し続けており、2024年12月1日現在は10万人を超えました。彼らが日本で生活する中で抱える悩みや課題は、外国人住民の出身国、来日目的、在留資格など様々な要素が絡み合い、複雑になっています。
こうした人々に地域での暮らしに必要な情報を伝え、安心して生活が送られるようにするために国は、2018年12月「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」を決定しました。これにより、外国人から寄せられる日本での生活全般についての相談に多言語で対応する「一元的相談窓口」が全国の都道府県や市区町村に設置されました。
名古屋国際センター(以下、「NIC」と表記)は、名古屋市の一元的相談窓口となっていますが、1984年の開設以来、外国人住民からの様々な相談に対して、多言語で対応しています。今回の特集では3回に渡ってNICの相談窓口について紹介することで、外国人住民の姿をお伝えしたいと思います。今回は特集(全3回)の第3回として、ある日のNIC相談窓口を紹介します。
第1回 「言葉の壁を越える:NIC多言語相談窓口「情報カウンター」」
第2回 「複雑化する外国人相談への対応:専門相談」
【窓口(情報カウンター)に外国人が相談に来たら】
まずは、カウンターに控えているスタッフが来館者に対してどのような相談で来館したのか確認します。その際に、外国語での相談を希望する場合は、多言語(通訳)スタッフも一緒に対応し、通訳を交えて聞き取りをします。母国語で話すことで、相談者も安心して相談することができます。
【聞き取った相談内容をもとに情報提供】
相談内容を聞き取ったところ、「日本語が勉強できるところを教えてほしい。日本語があまり分からないので、仕事を見つけるのに苦労している」とのことでした。カウンターのスタッフが曜日や時間帯、場所などの希望を聞き取り、当センターが収集している情報から条件に合う教室を伝え、自分に合った教室を検索できるウェブサイト「なごにほ」*1も案内しました。
*1 名古屋市内の日本語教室サーチ「なごにほ」
【より個別性の高い相談への対応】
日本語教室についてお話をしている中で、さらに相談をしたいことがあるとのことで、引き続きお話を伺っています。相談したい内容は次のことでした。
- 「永住者」の在留資格を持つ配偶者と離婚することになった。
- 自分の在留資格は妻の在留資格に基づくものである。離婚した後に在留資格を変更する必要はあるか。変更する必要がある場合、今後も日本で生活していくにはどの在留資格への変更が考えられるか。
- 母国に残してきた10歳の子どもを日本に呼んで一緒に暮らしたい。子どもの呼び寄せ手続きや日本の学校制度、入学方法についても知りたい。
今回の相談はNICでは、行政相談や教育相談等で対応する内容であったため、各相談員が対応することになりました。専門相談では、場合により相談者の了承を得て区役所等の機関や各種団体と連絡を取りながら相談対応をすることもあります。
寄せられる相談には、NICでの相談だけでなく、区役所や他の相談窓口などに行って手続きや相談をする必要があるものが多いです。場合により、相談者の了承を得たうえで、該当機関・団体にNICから連絡し、情報共有をすることもあります。
相談対応が終わった後は、記録を作成し、今後同じ方からの相談を受ける際などに活用します。
また、NICの相談員やスタッフ内での職員研修や情報共有の場も定期的に設けており、相談の質の向上や相談員のストレスケアなども行っています。
相談対応にあたり、大切にしていることや意識していることを行政相談員や教育相談員にインタビューしました。
外国人住民の相談は内容が多岐に渡り、NICのみでは解決ができない相談も寄せられています。外国人住民が困った時にまずはNICに相談しようと思える、相談のファーストドアとしての役割を担っていけるよう情報収集や広報に務めていくとともに、関係機関・団体等と日頃からつながりをもち、連携体制の構築を進めていきます。